5701 生涯学習概論 レポート

今日から少しずつレポート問題の解説と解答例を記事にしていきます。

勉強の流れについてはこの記事で、レポートの書き方一般についてはこの記事で説明しています。

繰り返しになりますが、丸写しのレポートは再提出になりやすいようなので、参考にとどめてください。

1. 設題の分解と書き出し

生涯学習概論のレポート設題は次の通りでしたね。

「ポール・ラングランの生涯教育理論が我が国の施策に及ぼした影響について述べてください。」

この設題によって何が問われているかを分析すると、

ポール・ラングランの生涯教育理論が我が国の施策に及ぼした影響について述べてください。」

この2点にポイントが置かれるように思われました。

つまり今回のレポートのアウトラインは、

①ポールラングランの生涯教育理論を説明し、

②この理論が日本の施策に及ぼしたと思われる影響を述べる。

で良いと思います。

したがって次のような導入を作りました。

 今日における「生涯学習」の前身ともいえる「生涯教育」という概念は、ポール・ラングランによって提唱されたものである。彼が提唱した生涯教育に関する基本的な枠組みは受け継がれており、今日の我が国の生涯学習施策全体として、その理論の影響を受けているように思われる。

 本稿では、検討の前提となるラングランの生涯教育理論について、まず概観する。続いて、彼の理論が我が国の施策に及ぼした影響を考察する。

 

2. 設題①と設題②

まず①について、ラングランの理論を自分の言葉でまとめます。

 ラングランによると、生涯教育とは、人の生活が公的か私的かに関わらず、一生涯の間、生活の全領域にわたって行われる、『綜合』教育の理念であるとされる。そして同時に、生涯教育は、一人一人の能力を十分に伸ばし、その使命を達成させるための制度であるとする。さらに、人類が直面する政治的、社会的、或は経済的な問題を、人類に対する挑戦であるとし、その対応策が求められていると考え、その対応策として生涯教育は位置付けられるべきとする。
生涯教育理念を以上のように建てた上で、彼は生涯教育の意義として(1)教育の年齢の統一、統合、(2)教育方法と教育内容の統一、統合を挙げる。前者は人の一生に着目した個人の教育という視点からの統一であり、後者は国民や社会全体における教育という視点からの統一である。この2つの視点をもって統合してゆくのが、彼が提唱する生涯教育というものなのであろう。
生涯教育の必要性に関して、彼は次のように考えた。教育とは人が生きている限り継続されるべきであり、その継続という働きを通して個人及び社会の永続的な要求に答えなければならない。
以上を踏まえて、彼の生涯教育理論の基本的な枠組みとして整理すると、次の3点にまとめられる。すなわち 、(1)現代の激しい社会の変化に対応するためには、「生涯にわたる教育・学習」が求められる、(2)今日の人類はこうした社会の変化に対応するのに必要な「新たな能力」を獲得しなければならない時期にある、(3)その「新たな能力」を得るためには、これまでの教育の制度に変わる、新しい制度を生み出す必要がある、という3点である。上記の基本的枠組みを継承して、今日に至るまで世界各国で各々の歴史的、或は社会的文脈といった実情を踏まえた「生涯学習」の理念が追求されてきたのである。

次に②についてですが、この部分を作成するのには少し時間をかけてよいと思います。

ラングランの理論というのは理念に近く抽象的であり、影響を受けている具体的施策を逐一取り上げるのは難しいような気がしました。

なので逃げているような感じもしますが、新体制や法整備の前提となっている一連の答申に影響を与えていて、間接的に今日の生涯学習施策全体に彼の理論が息づいている、というような書き方をしています。(笑)

 1965年にユネスコにおいてポール・ラングランが「生涯教育」を提唱して以降、日本では波多野完治によって翻訳されたものが出版され、その理論が紹介された。そして1970年代前半より生涯教育や生涯学習論について議論が積み重ねられていく中で、中央教育審議会(以下「中教審」とする)や社会教育審議会(以下「社教審」とする)、臨時教育審議会(以下「臨教審」とする)が答申を発表してきた。その答申に導かれ、行政における生涯学習施策が徐々に進行していった。その一方で、高度経済成長期にあった我が国においては、産業界や経済界がいち早く「生涯学習」の考え方に反応し、社内教育への取り組みや、民間の教育産業による一大市場の形成等へと帰結した。
そのような現状を背景として、文部行政でも改革の動きがあった。1970年代から1990年代にかけて発表された各審議会の答申の精神を尊重して、生涯学習を推進するための新しい体制づくりを行い、生涯学習を実施するのに必要な法律の制定を実現させた。これが「生涯学習のための施策の推進体制等の整備に関する法律」である。この法に基づいて、今日の我が国の生涯学習にかかる様々な施策が運用されているのである。以上の歴史的経緯を踏まえると、今日の体制づくりの前提として、中教審、社教審、臨教審の各答申における、理論の追求が作用しているように思われる。なぜならば、ユネスコは、実情の異なる世界中の国々に向けたメッセージを発する立場であるため、その発言は理念的で一般的なものにとどまらざるをえない。ラングランの生涯教育理論を、我が国の実情に合わせて解釈し、いわば「日本の」生涯学習の理念を追求することが、生涯学習の施策の実施に不可欠なのである。そのような働きをしたのが、上記の各答申であるように思われる。彼の生涯教育理論は各答申の中で日本の実情に合わせて解釈、具体化され、今日の我が国の生涯学習にかかる施策のいたる所で活きているように感じられる。

 

3. 解答例

以上を踏まえて、私が作成したレポートは次の通りです。

1. はじめに
生涯学習を支援、援助するにあたって、我が国は様々な施策を講じてきた。
さて、今日における「生涯学習」の前身ともいえる「生涯教育」という概念は、ポール・ラングランによって提唱されたものである。彼が提唱した生涯教育に関する基本的な枠組みは受け継がれており、今日の我が国の生涯学習施策全体として、その理論の影響を受けているように思われる。
本稿では、検討の前提となるラングランの生涯教育理論について、まず概観する。続いて、彼の理論が我が国の施策に及ぼした影響を考察する。
2. ポール・ラングランの生涯教育理論
ラングランによると、生涯教育とは、人の生活が公的か私的かに関わらず、一生涯の間、生活の全領域にわたって行われる、『綜合』教育の理念であるとされる。そして同時に、生涯教育は、一人一人の能力を十分に伸ばし、その使命を達成させるための制度であるとする。さらに、人類が直面する政治的、社会的、或は経済的な問題を、人類に対する挑戦であるとし、その対応策が求められていると考え、その対応策として生涯教育は位置付けられるべきとする。
生涯教育理念を以上のように建てた上で、彼は生涯教育の意義として(1)教育の年齢の統一、統合、(2)教育方法と教育内容の統一、統合を挙げる。前者は人の一生に着目した個人の教育という視点からの統一であり、後者は国民や社会全体における教育という視点からの統一である。この2つの視点をもって統合してゆくのが、彼が提唱する生涯教育というものなのであろう。
生涯教育の必要性に関して、彼は次のように考えた。教育とは人が生きている限り継続されるべきであり、その継続という働きを通して個人及び社会の永続的な要求に答えなければならない。
以上を踏まえて、彼の生涯教育理論の基本的な枠組みとして整理すると、次の3点にまとめられる。すなわち 、(1)現代の激しい社会の変化に対応するためには、「生涯にわたる教育・学習」が求められる、(2)今日の人類はこうした社会の変化に対応するのに必要な「新たな能力」を獲得しなければならない時期にある、(3)その「新たな能力」を得るためには、これまでの教育の制度に変わる、新しい制度を生み出す必要がある、という3点である。上記の基本的枠組みを継承して、今日に至るまで世界各国で各々の歴史的、或は社会的文脈といった実情を踏まえた「生涯学習」の理念が追求されてきたのである。次章では、ラングランの理論が、我が国の「生涯学習」に関する施策に及ぼした影響について考察する。
3. ラングランの生涯教育理論の影響
1965年にユネスコにおいてポール・ラングランが「生涯教育」を提唱して以降、日本では波多野完治によって翻訳されたものが出版され、その理論が紹介された。そして1970年代前半より生涯教育や生涯学習論について議論が積み重ねられていく中で、中央教育審議会(以下「中教審」とする)や社会教育審議会(以下「社教審」とする)、臨時教育審議会(以下「臨教審」とする)が答申を発表してきた。その答申に導かれ、行政における生涯学習施策が徐々に進行していった。その一方で、高度経済成長期にあった我が国においては、産業界や経済界がいち早く「生涯学習」の考え方に反応し、社内教育への取り組みや、民間の教育産業による一大市場の形成等へと帰結した。
そのような現状を背景として、文部行政でも改革の動きがあった。1970年代から1990年代にかけて発表された各審議会の答申の精神を尊重して、生涯学習を推進するための新しい体制づくりを行い、生涯学習を実施するのに必要な法律の制定を実現させた。これが「生涯学習のための施策の推進体制等の整備に関する法律」である。この法に基づいて、今日の我が国の生涯学習にかかる様々な施策が運用されているのである。以上の歴史的経緯を踏まえると、今日の体制づくりの前提として中教審、社教審、臨教審の各答申における、理論の追求が作用しているように思われる。なぜならば、ユネスコは、実情の異なる世界中の国々に向けたメッセージを発する立場であるため、その発言は理念的で一般的なものにとどまらざるをえない。ラングランの生涯教育理論を、我が国の実情に合わせて解釈し、いわば「日本の」生涯学習の理念を追求することが、生涯学習の施策の実施に不可欠なのである。そのような働きをしたのが、上記の各答申であるように思われる。彼の生涯教育理論は各答申の中で日本の実情に合わせて解釈、具体化され、今日の我が国の生涯学習にかかる施策のいたる所で活きているように感じられる。
4. おわりに
本稿ではラングランの生涯教育理論が今日の我が国施策にどのように影響しているかという観点から、中教審、社教審、臨教審の答申がポイントとなっていたことを考察した。考察を深めていく中で、彼の生涯教育理論が、各国の実情に沿って成熟される余地を残していることに気づいた。本稿では我が国の歴史を辿ったが、他の国ではどのように実際の施策へと具体化されているのか、今後の研究の課題としたい。

このレポートに対する講評では、テキストの理解と、ラングランの理論と審議会を絡めたところが特に評価されていました。

ポイントはラングランの理論の中枢部分と審議会の議論を絡められるかどうかになるのかなあと思います。

ラングランの理論を整理してから日本の施策への影響の説明を始めることで、テキスト理解についてもアピールできるレポートになると思います。

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