5707 児童サービス論 科目終末試験解答案

テキストを読込んでいれば、適宜参照するだけで必要十分な解答の大枠は得られそうな設問が多い印象です。また、レポート作成にあたって手抜きせずに準備していれば、1,2,3くらいまでは空で解答が作れそうです。

但し、web受験ではどのようなことが問われるのか分からないこと、発展させた問題での出題の可能性もあるので、受験にあたってはテキストと解答案の他に、参考図書を用意しました。

 

 

児童サービス論 科目終末試験問題集解答案

1.

「読書の楽しみ」は、子どもの精神面での成長を促す役割を持つ。

子どもにとっての「読書の楽しみ」とは、読書によって本の中に入り込み、主人公や登場人物となって考え行動し、喜怒哀楽を味わうことによってもたらされる面白さで、感動となって心を揺さぶられることをいう。このような本の中で感じる強い心の体験や感情の起伏を伴う読書を繰り返すことで、本の中での様々な体験が子どもの中に蓄積されていき、感性と理性が相まって人間的な成熟をもたらす。

さらに、このような読書は子供の発達に伴って多様で多彩になる。複雑な物語を読むようになったり、科学読み物によって科学をする心が芽生えたり、趣味や娯楽などの実用書によって楽しみを感じる分野が広がったりと、自分の好みや興味関心、得手不得手を知って、将来の進路について考えることが可能となる。

以上のような広がりを持つ読書の基盤には、当該読書によって心が大きく振幅すること、強い感情の起伏といった「読書の楽しみ」が無ければならない。押付けや強制がなく、子どもが自由な意思に基づいて好きな本を読むことが求められるのである。

このようにして、「読書の楽しみ」は子供の精神面での成長を促す役割を持つのである。

 

2.

近年においては子供の読書離れが問題となっているが、その原因には次の4点が考えられる。すなわち、①個人的な要因、②家庭の要因、③社会的要因、④学校教育の要因である。これらの要因が複合的に重なり、読書離れを誘引しているのである。これら4つの要因は、以下の理論によって現代の日本社会と係わりを持つと思われる。

まず、子どもが読書をする能力の会得までのプロセスを確認する。子どもはまず言葉を覚え、文字を覚え、そして文章が読めるようになり、読書が出来るようになる、というプロセスを辿るのであるが、言葉は日々の暮らしの中で養われていくものである。その暮らしの中に、日本の社会事情の変化の一つである、映像メディアの急速な発達が影響を与えたこと、そしてそこに上記4つの要因が複雑に入り込んだことが、子どもの読書離れに帰結していると考えられる。具体的には、映像メディアに頼ったTVゲームなどに遊びの内容が変化した、映像メディアの楽しみのために親の読書意欲と姿勢が消極的になった、読書教育から映像メディアを活用したものに学校教育が移行したこと、などが想定される。

 

3.

児童サービスとは、子どもに読書の喜びを知ってもらうために公共図書館が行っているサービスで、子どもが読書をする意義を認め、子どもと本を結びつけ、子どもが読書の楽しみを知って定着するように奨励する様々な活動や工夫、配慮、さらにそのための環境づくりや条件整備を含めて総称したものである。

このような児童サービスを公共図書館が行うことには、次の意義が認められる。

子どもは図書館で老若男女様々な人や子どもに出会う。また、その図書館の蔵書を利用することで本を他の人と共有している感覚を養い、読書を通して他者や社会に気づき、それらと繋がっている感覚を得ることが出来る。この点で、公共図書館における児童サービスに社会的意義があるといえる。

また、子どもが図書館に自分の居場所を見出すと、自分の図書館であるという気持ちが強くなり、大切にするためにルールや規則が守れるようになる。このような、みんなの図書館を大事にしようとする気持ちが公共性への理解に繋がるので、幼い頃から子供を図書館に連れていく意義があると思われる。

 

4.

本を主とした直接的な活動とは、子どもと直接接して、本を用いて読書に繋げたり、調べたりする働きを言う。類型は次のものである。

①フロアワーク フロアワークとはカウンターから外に出て、子どもたち一人ひとりの要求に応える仕事で、カウンターワークと対比して用いられる。子供が声をかけやすいようにフロアに出て、困っている子どもを見つけたら自ら声をかけ、援助することが求められる。

②読み聞かせ 読み聞かせは本を子どもに読んであげる行為を言い、主として文字の読めない子供に対して、代わりに声に出して本や文字を読んであげることである。集団を対象として読み聞かせを行う場合には、次のことに配慮する必要がある。すなわち、イ)絵がはっきりして遠くからでも見やすい絵本か、ロ)絵で話の筋が辿りやすく、情報が多すぎないか、ハ)絵と文字が渾然一体となって物語世界を形成しているか、ニ)起承転結があり、ハッピーエンドで終わるものが好ましい、ホ)声に出した時の言葉の響きがよく、言葉づかいに独自性があると良い、へ)文章が、読むにあたってよどみなく、独自のリズムと流れがあるものが適している、といった点である。

③ストーリーテリング 子どもと対面し、お話や物語を語る行為。何の道具もなしに行えるため応用の範囲が広く、図書館の見学や学校訪問で、また長期入院をしている子どもにも良い働きをするものである。

④ブックトーク 広義においては本について話し、紹介して本を読んでみようと思わせる活動全体を指す。テーマを設定して複数の本を口頭で紹介する活動をフォーマルなブックトークと言い、フロアワークや受付カウンターなどで問われたり、必要に応じてその時々に紹介したりする活動は、インフォーマルなブックトークという。

⑤アニマシオン 同年代の子どもの集団を対象にして子どもと本を結びつける新しい活動で、ブックトークの要素を併せ持ちつつ、より多種多様な遊びの要素を取り入れており、気楽で自由な雰囲気の中で行われるものである。

⑥レファレンス 一般的にレファレンスとは、調べ物に対して、その解決を資料によって手助けする人的援助を言うが、児童サービスにおけるレファレンスは次の2つに区分できる。

(イ)子どものレファレンス 子どもが図書館に持ち込む調べ物の相談で、主として日常生活に関わって身近な興味や疑問について調べるもの、また、学校の学習の課題や総合学習に関わる課題がある。

(ロ)子どもの本のレファレンス 個人、学生、研究者、機関による、児童書や子どもの読書についての文献検索、調査、紹介などのサービスをいう。

⑦読書案内 どのような本が面白いか知りたい人や子どもに対して、本を案内し、紹介する活動である。この活動単体で行われることは少なく、カウンターでの貸出や、フロアワーク、予約リクエストなどの様々な活動に付随して行われる。

⑧行事・文化集会活動 「読むこと」に結びつけることを重要視した行事や文化・集会活動で、人形劇と展示や読書案内、ブックトークを組み合わせる、ペープサートやパネルシアターやエプロン市阿多^など、多様な試みがなされている。

⑨乳幼児サービス 乳幼児とは、乳児と幼児を総称したもので、0歳から6歳くらいまでの子どもを指すが、図書館における乳幼児サービスの対象となるのは3歳未満までの物語を理解する前の子どもとその保護者である。具体的なサービスとしては、乳幼児コーナーの設置や乳幼児と保護者のためのお話会などがある。

 

5.

読み聞かせとストーリーテリングには、次のような共通点と相違点が認められる。

まず、絵本や本を使う、使わないという形態の違いに加えて、「読む」ことと「語る」ことといった、行為における大きな違いがある。

「読む」行為である読み聞かせに当たっては、「活字」を読むことになるので、書き言葉としての文法上の制約が課される。また、内容は絵本や物語にとどまらず、科学・知識絵本、科学読み物、説明文など広範な分野において可能な行為である。

一方、「語る」行為であるストーリーテリングでは「話し言葉」によってお話や物語を語るため、文法上の制約はなく、語りが上手か下手か、語る巧さ、語る妙が重要視される。このため、内容は物語やお話に向いている行為である。また、本を介さないので子どもとより直接的な繋がりを持てる行為と言える。

以上のような相違点があるが、どちらも耳からの読書であるので、文字が読めない子供に効果があり、聞き手と語り手の間の心の交流が深まって信頼感が醸成されること、また、同じ場所で聞いている子どもたち同士の間に共感と連帯感が生まれる点で共通している。

さらに、学校訪問や入院児への働きかけなどの連携・協力の面で広く応用できること、専門性を有する働きであること、フロアワークにおいても可能であること、読むとき、語る時の注意や選ぶポイントなどにも共通点が認められる。

 

6.

ブックトークには、フォーマルなブックトークとインフォーマルなブックトークがある。即ち、通常はグループを対象として、テーマを設定して複数の本を口頭で紹介する活動をフォーマルなブックトークと言い、フロアワークや受付カウンターなどで必要に応じて本を紹介する活動をインフォーマルなブックトークと言う。

ブックトークとは本を紹介し、その本を読んでみようと思わせる活動である。その目的は本に対する興味関心を持たせることで、本を読み始めた子や読むのが苦手な子供に対して、テーマに沿った面白そうな本を巧みに関連付けて紹介して、読むきっかけを大切にすることに意義があると言える。この働きを通して、子どもは自らの意志に基づいて本を読んでみようと思わせる効果が期待でき、さらには「読書の楽しみ」を見出すことに繋がるだろう。

ここで、インフォーマルなブックトークの方法を説明する。

①テーマを決める テーマは如何なるものでも構わないが、学校などの機関から依頼されて行う場合には、対象となる集団に合わせて決めるのが良く、カリキュラムを踏まえた希望が呈されることもある。

②本を選ぶ 選ぶ本群は物語だけでなく、科学や趣味、実用書などの様々な分野から選出し、多彩な組み合わせとなるようにするのが望ましい。書名にテーマが表れていないものや、一見テーマとは無関係そうなものを含め、子どもが自ら手に取らなそうなものを紹介することが肝要である。子供の集中力を踏まえると、最大でも10冊程度に絞るべきである。

③構成 全体が一つの物語のように組み立てて紹介できるのが望ましい。順列にも配慮し、硬軟取り混ぜた組み合わせになるように工夫を凝らすと良い。

④紹介の仕方 書名ははっきり伝え、あらすじを述べたり、一部を読んだり、エピソードを述べたりして子どもに問いかけつつ、小道具を見せて飽きさせないように紹介する。本の内容が難しいと思われるときには、そのことも伝える。紹介が終わった後に、紹介した本や関連本のリストを配布する。

⑤記録を付ける テーマ、日時、対象、人数、取り上げた本、所要時間、子どもの反応、評価、反省点などを記録して、次のブックトークや後任に役立てる。

⑥その他 本は必ず読み返しておき、紹介した本が借りられることを予想して数冊揃えておくのも良い。

 

7.

一般的にレファレンスとは、調べ物に対して、その解決を資料によって手助けする人的援助を言うが、児童サービスにおけるレファレンスは次の2つに区分できる。

(イ)子どものレファレンス 子どもが図書館に持ち込む調べ物の相談で、主として日常生活に関わって身近な興味や疑問について調べるもの、また、学校の学習の課題や総合学習に関わる課題がある。

(ロ)子どもの本のレファレンス 個人、学生、研究者、機関による、児童書や子どもの読書についての文献検索、調査、紹介などのサービスをいう。

(イ)子どものレファレンスにおいては子どもが対象となっている。レファレンスを通して、子どもが自分で調べるようにさせることで、子ども自身の問題解決力の育成、向上に意義があるとされる。また、調べ学習としての本の使い方を学べるという点にも意義がある。

一方、(ロ)子どもの本のレファレンスにおいては、子どもよりも大人を対象としたものである点に差異がみられる。ここで重視されるのは、調査の目的を達成することで、そのためのツールの充実が不可欠なのである。

 

8.

ブックスタートは、1992年にイギリスのバーミンガムで始まった働きである。その理由としては、①多民族化による識字率の低下、②保護者の活字離れ、③育児不安、④親子関係の希薄化、⑤子どもの想像力、集中力の低下が挙げられる。また、日本においてブックスタートがはじめられた理由としては、①社会の変化によって昔ながらの子育てが難しくなったこと、②子どもの話を聞く方途に戸惑う保護者の増加、③1歳半程度でテレビに子守をさせるなどの子どもの言葉を育てる条件の悪化が挙げられる。その目的は、「赤ちゃんと保護者が絵本を介して、ゆっくり触れ合うひと時を持つきっかけを作る」ことである。

ブックスタートに期待される効果としては、バーミンガム大学の追跡調査で、言語面、計数面双方の思考能力の発達に大きく貢献することが明らかになったことが考えられる。

 

9.

間接的に子どもと本をつなぐ活動には、読書という行為に繋がるための条件整備や環境整備など様々なものが含まれる。この働きの一つとして、子どもの本の分類と配架がある。子供が目指す本に行きつきやすく、また、目的の本を自分で探せるよう、そして早く本が手にできるように、何らかの基準に沿って本を並べておくことが求められる。このため、本を分類し、その分類に基づいて本を配架しておくことが必要となる。これを本や資料の組織化という。

まず、子どもの本の分類について注意すべき点として、絵本の蔵書が多いことが挙げられる。特定の絵本が探せるよう、二次分類を用いて広い層に分かりやすいように配列すると良いだろう。さらに、児童書ではNDC小中学適用表によって分類しているが、機械的に分類すると分かりにくい場合もある。そのような場合には、生きものとその飼い方を統一するなどして柔軟に対応することが求められる。このように分類することで、蔵書を体系立てて検索を可能にし、確実に本の有無や所在位置をつかみ、有効に効率よく活用できるのである。

配架について配慮すべきことは、各分野のグルーピングをすることがまず挙げられる。グルーピングに当たっては、子どもの興味関心がNDCの分類とは合致しないという児童書の特質を踏まえて、表示や別置などを活用して配架する。これによって子供は目指す本が探しやすくなると考えられる。

また、いつも同じ場所に置いておくこと、子どもの目の高さを意識すること、平置きにしてみることなどで、より子どもは本を見つけやすくなると考えられる。

 

10.

間接的な児童サービスとしての展示・掲示にあたっては、年間計画を立てて取り組むことに注意すべきである。これによって展示内容を成り行きに任せてしまうことなく、一貫性を持ち、月別展示の違いを明確にできる。また、取り上げる本の選出にも配慮することで、展示されている本にはいつも味があると伝われば信頼感が生まれ、その後に紹介する図書や資料の活用に繋がる。以上のような効果的な展示・掲示の効果として、図書館の雰囲気を変え、新鮮な気持ちで見てもらえることから、知っている本の新しい面を見出す可能性が挙げられる。また、目で見るブックトークとしての役割も期待できる。

ブックリスト・主題冊子目録について注意することは、新着リストに関しては簡単な紹介分を載せること、主題別リストに関しては、想定した年齢によって、同じ主題でも扱う本を変えることなどがある。ブックリストや主題冊子目録は、子どもだけでなく、学校の先生やボランティアをする大人など、利用する可能性のある人が多く、時間と場所を超えて遠くの様々な人に知ってもらえると期待できる。

広報・PRの活動において効果的な方途として一般的なものは、図書館だよりのようなお知らせである。さらに、子どもへPRするのに有効な手段は友達の繋がりである。このため、日ごろからカウンターでの対応やフロアワークでの親身な対応が肝要となるのである。

 

11.

児童サービスは図書館サービスの一部門である。ここから、児童サービスに関わる要素としては、「施設、資料、職員、活動、サービス対象者」の5つが挙げられる。このうち、「①児童スペース(場、空間)、②資料、③職員(司書)」を、児童サービスを支える3要素とする。

①児童スペース 広さ面積、空間はサービスの質そのものに大きく関わり、照明や天井の高さ、壁の色、冷暖房の仕組みなどの施設に置ける設備も、児童サービスの在り方を規定する要素であると言える。また、集会室の有無等は増改築などの特別な事情がない限り変えることが難しいので、新規に図書館を開設する場合や改築増築などの場合に意見や要望を述べる機会の確保が肝要となる。

②資料 蔵書の量と質はサービスの質を決める大きな要素であり、資料の集積が安定したサービスを保障し、児童サービスの活動を支えるのである。資料の質量は、開架する冊数や、ブックトーク、読書案内、フロアワーク、レファレンスサービスなどの質に関与する。収集方式と選書によってその如何が決定される。

③職員 専門的レベルの知識力量を持った人で、図書、各資料に精通し、サービス全般について専門的知識・能力を持っている人のことをいう。児童サービスでは、子どもの読書の意義について理解があり、読書が子どもに及ぼす影響などを熟知しており、個人や社会の要求を知り、そして還元することができる人であるべきと考えられる。

以上の3要素を踏まえた上で、サービスに携わる人にはさらに次の3要件が求められる。即ち、「子供を知る、子どもの本を知る、両者を結びつける方法を知る」の3点である。

  1. 子どもを知る 自分の五官を用いて、図書館に来る子どもだけでなく奉仕圏域内の子ども全体について知るように努めることが求められる。同時に、成長発達の途上にある子どもというもの一般や、その発達の道筋や課題、行動様式などの子どもというもの全体について熟知しておくべきである。その上で、子どもの読書傾向や年齢ごとの読書能力、子どもの本の好みに関する要素、よく読まれている本や定番図書などを知っておく。さらに、顕在化した読書欲求から、子ども自身する気が付いていない潜在的な読書欲求を観察し、児童文化としての遊びや流行などにも敏感であると良い。また、観点を変えて、地域の状況や子どもを取り巻く社会環境などを知り、様々な子どもの存在とそのための資料や教育媒体と共に知識を得ておくことが望まれる。
  2. 子どもの本を知る 時間の資料とその整理体系、配架状況、予約、リクエストなどを含む利用実態や書庫の保存状況などを知っておくことが求められる。また、選書や基本図書とその解説、児童書を評価する力量、新刊書の選書基準の適用なども知っていて当然と思われる事項である。そのためには、自ら本を読み、出版流通事情を知り、流通外の資料や特殊資料、さらには非印刷資料、視聴覚資料、電子資料を知っておくと良い。
  3. 両者を結びつける方法を知る 直接サービスとして、読み聞かせ、ストーリーテリング、ブックトーク、読書案内、フロアワーク、レファレンスサービスなどから、カウンターワークや間接サービスとしての分類、配架、書架整理、展示掲示、ブックリスト、利用案内、館外活動など、児童サービスの活動に関わるあらゆる業務を知っておく。

 

12.

児童図書館員は、読む喜びや読書の楽しみを知ってもらうために、子どもと本を結びつける活動を担う人であると言える。そのために、自身もサービスを担う大事な要素の一つであるとの自覚が重要となる。さらに、図書館をめぐる新しい状況を知り、それに対処することが求められる。また、図書館における子どもに対する利用教育を担うものとして業務を遂行し、教育者的な働きをすることも求められる。以上が児童図書館員の担う役割である。

児童図書館員は幅広い面で子どもの成長に関わり、自分のことについては自分で判断、決定でき、責任を自覚し義務を果たすという自立した市民に向けて、「人」として「心」を育てることに関わっているという点で、その存在の意義を持つ。

児童図書館員の課題としては、児童サービスに携わる者の3要件を満たすことが考えられる。3要件とは「子供を知る、子どもの本を知る、両者を結びつける方法を知る」の3点であり、具体的には次のようにまとめられるものである。

  1. 子どもを知る 自分の五官を用いて、図書館に来る子どもだけでなく奉仕圏域内の子ども全体について知るように努めることが求められる。同時に、成長発達の途上にある子どもというもの一般や、その発達の道筋や課題、行動様式などの子どもというもの全体について熟知しておくべきである。その上で、子どもの読書傾向や年齢ごとの読書能力、子どもの本の好みに関する要素、よく読まれている本や定番図書などを知っておく。さらに、顕在化した読書欲求から、子ども自身する気が付いていない潜在的な読書欲求を観察し、児童文化としての遊びや流行などにも敏感であると良い。また、観点を変えて、地域の状況や子どもを取り巻く社会環境などを知り、様々な子どもの存在とそのための資料や教育媒体と共に知識を得ておくことが望まれる。
  2. 子どもの本を知る 時間の資料とその整理体系、配架状況、予約、リクエストなどを含む利用実態や書庫の保存状況などを知っておくことが求められる。また、選書や基本図書とその解説、児童書を評価する力量、新刊書の選書基準の適用なども知っていて当然と思われる事項である。そのためには、自ら本を読み、出版流通事情を知り、流通外の資料や特殊資料、さらには非印刷資料、視聴覚資料、電子資料を知っておくと良い。
  3. 両者を結びつける方法を知る 直接サービスとして、読み聞かせ、ストーリーテリング、ブックトーク、読書案内、フロアワーク、レファレンスサービスなどから、カウンターワークや間接サービスとしての分類、配架、書架整理、展示掲示、ブックリスト、利用案内、館外活動など、児童サービスの活動に関わるあらゆる業務を知っておく。

 

13.

子どもの本の種類としては、絵本、伝承文学、児童文学、わらべうた、ノンフィクション、紙芝居や布絵本などのその他の資料が挙げられる。その中の一つである絵本について説明を加える。

絵本は絵と文からできている本である。絵本においては、絵は文以上に重要である。それというのは、経験が乏しく文章のみでイメージすることが難しい幼い子供に対して、絵はイメージを描くのを助けるからである。良い絵本というのは、絵だけで物語が辿れるようになっており、字が読めない子どもたちであっても、物語を理解できるのである。

絵本を分類することは難しいが、一般的な種類分けに従うと次のようになる。

①赤ちゃん絵本 一般に、0~2歳の赤ちゃん向けの絵本のことを言う。この頃の子供どもは日常の体験が少なく、言葉も未習得なので、まだ物語を理解することが出来ない。この絵本の中に自分の知っている動物や乗り物、食べ物を見つけ、言葉のリズムや音のひびきを楽しむのである。この頃からわらべうたを楽しむことが出来るので、そのような本も含まれる。

②物語絵本 3歳近くなると簡単なストーリーのある本が楽しめるようになる。また、4,5歳頃になると、より複雑なことも理解できるようになり、長いストーリーを聞くこともできるようになる。この頃は、人間よりも動物や乗り物が主人公であるほうが子どもたちの感情移入がしやすい傾向がある。

③昔話絵本 長い間語り継がれてきた昔話は耳で聞いて分かりやすく、子どもたちに受け入れられやすいので、多くの絵本が出版されている。安易に作られたものも多く、子どもが初めて出会う絵本の絵は、後に本を読むときのイメージの土台となるので、心して選ぶべきである。

④知識絵本 知識絵本は科学絵本とも言い、宇宙や植物、動物、昆虫などに対して、子どもたちのなぜだろうという知的欲求に答える絵本である。科学的な知識を与える絵本なので、正確であることが求められる。

⑤その他の絵本 仕掛け絵本や、物語絵本を大型絵本にしたものがある。

また、絵本の見方についてであるが、次のようなポイントにまとめられる。

・絵が物語の内容に相応しく、子どもたちの美的感覚を養うものであるか。

・字の読めない子供は絵を読むので、絵だけで物語が辿れるか。

・文は声を出して読んで読みやすく、心地よいリズムを持っているか。

・簡潔で分かりやすい文章か。

・子どもの生活経験に近いもの、子どもの経験を広げるものなど、子どもが理解できる内容か。

・絵と文が一つになって相乗効果をもたらしているか。

さらに知識絵本の場合には、その内容の正確さも、見方のポイントとして求められる。

 

14.

児童資料において、伝承文学と分類されるものがある。昔話、伝説、神話のように、昔から口伝てによって人から人へと伝えられてきた文学を口承文学という。もともとは文字で書かれたものではないが、現代では語られたものを文字に書き直して出版されている。このような文学は元来人類の共有の財産であったが、大人の文学が近代より人間の内面を描くことが中心となってくると、素朴な形の伝承文学は子どもの本の中で重要な位置を占めるようになった。伝承文学には、①昔話、②神話、③伝説・寓話といった分類がある。

①昔話 昔話は、子どもの本が出版され始めると西洋でも日本でも昔話の本が出版されたことから、児童文学の源とも言われる。昔話は登場人物の性格を内側から描かず、外見や行動から描く表現方法や、繰り返しがあることから、人生経験の少ない子どもにも分かりやすく書かれている。

②神話 昔話と同様に、太古の昔に起源を持つ。神話は我々の祖先が自然現象や宇宙の神秘、人間性を理解しようと、神々の活躍を通して自分たちを取り巻く世界について語ったものである。昔話は無名の語り手によって形を変えてきたが、神話は特定の文化を背景に、形を変えずに伝えられてきた。

③伝説・寓話 昔話が架空の物語であるのに対して、伝説はある特定の人物や場所と結びついて、事実として信じることを要求するのが特徴である。寓話はたとえ話で、有名なものにイソップの寓話がある。

このような昔話をはじめとする伝承文学には絵本から文学への橋渡しをする効果が見込める。

 

15.

子どもの本の収集と選択は、どのような児童サービスを展開するかと密接にかかわっており、奉仕理念に沿って本を集め、蔵書を構築していくこととなる。公立図書館は地域住民のために幅広く資料を

収集するが、そこにおける児童室でも同様の方針に沿って、乳幼児の絵本、お話や物語、知識絵本、調べ物に使う本、紙芝居や視聴覚資料、障害を持った子供向け資料などを幅広く収集する。

以上のように収集の範囲を定めると、次は、蔵書とするか否かの図書や資料の選択をする。ここにおける決まりや申し合わせを選択基準とする。

選択において、一点ずつ手に取って選択する方法を現物見計らい制度と言い、一方、新刊の図書情報や各種図書リスト、出版社の図書情報、児童選定図書などを参考にして、予算に応じて決定する方法が一般的である。

児童書に関しては、子どもが利用する頻度が高く、短期間に高回転するので傷みやすく、修理が必要になったり壊れてダメになったりする確率が高く、既刊であっても購入計画を立てることがある。収集や選択においては、新刊、既刊書を視野に入れて一つの本を吟味し検討して蔵書するか否かを決定すべき点に注意が必要である。

収集方針として挙げられるのは次のものである。①図書館の種類・規模・活動歴・現在の状況、②奉仕対象地域、③奉仕対象人口、構成、④図書館の社会的機能、児童サービスの奉仕理念。⑤その図書館に必要とする資料の追求と収集…収集資料の範囲の明示、内容が優れた本、基本図書、読み継がれたものなどにポイントとしてまとめられる。

選択基準は以下の通りである。①蔵書構成、②書誌事項、③内容、④表現方法、⑤分野ごとの特性、⑥主たる読者層に合った本づくりになっているか、⑦蔵書をどう構築していくか、などにまとめられる。

 

16.

児童スペースの蔵書構成とは、子どものサービスのために用意してある図書群の分野別割合である。利用者のニーズに合わせて図書館は本を買い足したり、手薄な分野の本を集めたり、利用の少ない本を書庫に収めたりする。これによって少しずつ利用者に適した本がそろい、奉仕地域に合った図書群が自然と形成されていくのである。このように図書館の蔵書は形成されるが、出来上がったものとともにこの過程も蔵書構成と呼ぶのである。

図書館を開設する際には当初の蔵書構成をどうするかが検討されるが、児童サービスに関しては、さらに絵本や児童文学、知識・主題図書の割合が考慮される。ここでは各分野の基本になる図書である基本図書を重視してその割合を資料費に照らして決める。基本図書とは、子どもの分野では特に重視されるべきもので、児童書では子どもの読書の中心となり、提供やサービスも重視されるのである。子供が成長発達に応じて、その発達課題を達成してくことが大切である。その発達課題を上手に描き、子どもの心をとらえている図書が、基本図書である。基本図書は必要に応じて複本にし、亡失するとすぐに補充する。一定年限で見直しもする。

 

17.

障害を持つ子どもに対する児童サービスとしては、次のものが挙げられる。

特に視覚障害児に対して、出入り口のスロープやチャイム、点字ブロック、点字表示、音声案内、自動扉、トイレ、エレベーターなどの施設面での配慮が行われている。

資料としては、点字図書の用意がある。また、録音図書の提供もあり、これは視覚障害児だけでなく本を持てない障害、頁をめくれない障害を持つ子どもも利用できる資料であるし、中途失明のために点字が上手くよめない子でも使えるのである。さわる絵本や、布の絵本もあるが、民間主導で作成されている状況である。

サービスとしては、郵便貸出し、自宅配本制度、対面朗読、訪問朗読といった活動がある。これらのサービスを行うにあたっては、障害を持つ子どもに関わる機関との連携協力が不可欠であると言える。

 

18.

学校図書館法第2条によると、学校図書館とは、小学校、中学校及び高等学校において、図書、視聴覚教育の資料その他学校教育に必要な資料を収集し、整理し、及び保存し、これを児童又は生徒の健全な教養を育成することを目的として設けられる学校の設備をいう。

学校図書館は教育課程の展開に寄与するとともに健全な教養を育成することを目的にしているため、次の3つの機能を持つ。

①読書センターとしての機能 児童生徒が読書を楽しみ、読書の習慣を身につけるために援助する。

②学習・情報センターとしての機能 児童生徒の自発的な学習活動を助け、情報を収集し、選択し、活用する能力を育成する。

③教員へのサポート機能 教科指導のための資料や教材となる図書を集めて教員に提供する。

利用者に対して適切な資料を手渡すという点では学校図書館も公立図書館も同じであるが、「学校の教育課程に寄与する」という目的の点で大きな違いを有する。学校図書館においては、その活動は学習指導要綱にのっとって行われる。また、読み聞かせやブックトークなどの本を紹介する活動も、学習に沿って行われるものとなっている。

 

19.

学校と公共図書館との連携協力の在り方として、次の2点が考えられる。

①図書館資料を通しての連携協力 公共図書館が学校図書館の資料をバックアップするなどして、予算に制約のある学校図書館の資料ニーズに応える方法が挙げられる。公共図書館が学校教育に必要な資料を揃えて必要な時期に貸し出せば、効率的に資料を使うことが出来るという効果が期待できる。

②図書館訪問・学校訪問 地域の小学生が学級単位や学年単位で図書館を訪問し、図書館の利用の仕方や仕事について学び、読み聞かせやブックトークを行う交流がある。また、図書館員が学校を訪問して、図書館の紹介や読み聞かせをする交流もある。これらの交流によって、子どもたちと公共図書館が身近になる効果が期待できる。

 

20.

ヤングアダルトサービスとは、ヤングを主たるサービス対象とし、読書を生活の中に定着させ、読書がもたらす効用によってその自立を支援していこうとする図書館サービスである。ヤングが関心を持つものに寄り添い、好きな分野や興味のある事柄を手掛かりに、自分と向き合って自身を深く探っていけるよう、本、人、場を用意するサービスと言える。

このようなヤングアダルトサービスの目的は、①児童サービスから成人サービスへの移行、②図書館及び読書活動を通じて生涯学習を積極的に行う、③情報と娯楽のための生涯にわたる読書の原動力を持たせる、④情報リテラシーのための技術習得を促進する、⑤教育、情報、文化、娯楽の要求に合わせるため、コミュニティのすべてのヤングアダルト向けの図書館資料とサービスを提供すること、の5点にある。これらは次の3点に要約される。

  1. 広い意味での「読書」ができる自立した人間の育成。
  2. 検索手段を身に付け、課題解決能力を高めるために、自己学習が可能な人間の養成。
  3. 自分に向き合い、自己認識をし、個性や価値観を形成し、広い視野の中で客観的に、自分で自分のことを考え、決定できる。そうして社会生活を営むことができるようにする。

 

受験に臨む上で購入した参考図書は以下のものです。

 
児童サービス論 (JLA図書館情報学テキストシリーズ 3-6)

児童サービス論 (現代図書館情報学シリーズ)

児童図書館サービス論

児童サービス論-第2版 (ライブラリー図書館情報学)

児童サービス論 (ベーシック司書講座・図書館の基礎と展望)

 

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