5709 図書館情報資源概論 科目終末試験解答案

先日のKULeDでのインフォメーションにもあったとおり、(失礼を承知で)お粗末なテキストの一つと言わざるを得ません。しかしこの分野の研究自体が詰められていない印象があること、テキストが最も新しい情報を含んでいることに加え、設問を設定した先生の求めるところの解答を作るべきであることを考慮すると、可能な限りでテキストに準拠して解答を作る必要があると思います。

したがって、テキストのみでは理解できないところを中心に、購入した参考図書を読み比べながら解答を作りました。

解答作りが不十分なまま受験するに至りましたが、どの程度の準備をして試験に臨んだのかを参考にしていただくためにも、受験以降手を加えていない状態の解答案を掲載しております。ご了承下さい。

図書館情報資源概論 テスト問題解答案

1.

図書館資料とは、伝統的には冊子体やAV資料、電子資料などを中心としたもので、近年登場したネットワーク情報資源を含めて図書館情報資源と呼ばれるものである。具体例としては、次の6点が挙げられる。

単行書…一冊ずつ単独で刊行されている図書を指す。ここにおける図書とは、紙に印刷された、公衆の利用に供される、本体が49頁以上で製本された不定期刊行物をいう。

参考図書…必要な時に必要な部分を参照して活用する資料で、レファレンスブックともいう。調査の必要に応じて書架になくてはならないので、図書館では禁帯出となる。

雑誌…図書と比較して速報性が高い資料で、刊行頻度を持っており、日刊、週刊、月刊、季刊、年刊などが挙げられる。また、定まった時期以外に刊行する増刊や別冊などもある。

新聞…時事的なニュースや報道、評論などを中心として、世論に伝える定期刊行物である。図書や雑誌と比較して、さらに速報性の高い資料と言える。

マイクロ資料…貴重書や資料の劣化、損傷、破損がある資料などの原本を縮小撮影したもの。マイクロフィルム、マイクロフィッシュ、アパチュアカードなどがある。利用するにあたっては、フィルムを拡大して閲覧するマイクロフィルム専用のリーダーを使う。

CD-ROM…パッケージ系資料の代表的なもので、データの書き込みや削除ができないディスクのことである。市販の音楽CDや、読取専用のCDなどがある。

※または、5頁以降の『日本目録規則1987年改訂3版』による資料種別を参考にする。

2.

印刷資料とは、印刷技術を用いて紙に印刷された資料のことを指し、図書館が伝統的に収集してきた資料群であるといえる。印刷資料は図書、逐次刊行物、小冊子、地図、加除式資料などがある。これらの特質は、次のようにまとめられる。

図書 ひとまとまりの体系的な内容を持ち、不特定多数の人々に向けて出版される、紙媒体の印刷物である。冊子体として製本され、表紙を除いた49頁以上から成り立っている。

逐次刊行物 同一のタイトルのもと、終期を予定せずに継続して刊行される紙媒体の印刷物である。

小冊子

地図 地表の形状などを記号法や縮尺といった一定の約束事に従い、図形として表現した一枚のもの。

加除式資料 法令集などに適用される形態で、変更箇所をページ単位で差し替えが出来る資料。

一方、非印刷資料とは、印刷技術を用いていない資料のことを指し、具体的には点字資料(UV点字資料は印刷資料に含む)やマイクロ資料、映像資料、音声資料、パッケージ系電子資料、博物資料、ネットワーク情報資源などが例として挙げられる。これらの特質は次のようにまとめられる。

点字資料 点字資料には、仮名文字だけで構成された点字資料のほか、絵の上にビニールテープを貼りつけた点訳絵本や、布を使って絵本にしたさわる絵本なども含まれる。点字資料は厚めの紙に凹凸をつけているので、印刷された資料に比較して大判で肉厚となり、密着した状態では保存に適していない。

マイクロ資料 マイクロ資料は、書類や図面などを写真技術により縮小撮影したフィルムのことである。肉眼では読取ることが出来ないので、専用の画像拡大装置を必要とする。

映像資料 事物や事象について、その動態あるいは静態の視覚的イメージを、アナログまたはデジタル形式でディスクやテープに記録したもの。

音声資料 音響資料とも言い、音楽や話声をアナログまたはデジタル形式でディスクやテープに記録したもの。

パッケージ系電子資料

博物資料

ネットワーク情報資源

3.

モノとしての実態を持つ紙媒体の図書の利点として、以下の5点が挙げられる。

①保存性が高い 紙の保存性は半永久的なものである。

②読むための特別な手段を必要としない 技術が進歩したとしても、読む手段が失われない。電子媒体においては読書のための専用のデバイスを必要とするため、デジタル技術の変化に左右される不安定な存在と言える。

③流通量が多い 現段階において、電子書籍よりも紙媒体の本の方が流通する量において圧倒的に勝っており、様々な資料を選択できる。

④多様な価値評価ができる 美術的な装飾を施して刊行するなど、当該図書の内容以上に価値を高めうる余地を残している。

⑤経済性 電子媒体の図書専用のデバイスを必要としないので、比較的安価に入手することが可能である。

紙媒体の図書が以上のような利点を持つ一方で、電子媒体の図書は次のような利点を持つ。

①環境に優しい 専用のデバイスがあればよく、紙を必要としない。

②webと連携した新しい読書の楽しみ方が得られる 専用のデバイスにはブラウザやアプリケーションを搭載しているものもある。

③軽便である 電子書籍リーダーはますます軽く、持ち運びやすく進歩している。保管するスペースも節約できる。

④アクセシビリティが向上 拡大や白黒反転、音声による読み上げ機能などが搭載されている場合、従来の一般的な紙の図書を利用しづらかった人たちのアクセシビリティを向上させうる。

⑤絶版となった書籍にも対応できる デジタルアーカイブ等を利用することで、絶版となってしまった図書にもアクセス可能となる。

以上のような利点を持つ電子媒体による図書である、電子書籍の貸出サービスを行う公共図書館の例として、次のものが挙げられる。

まず過渡期の働きとして、北海道岩見沢市図書館の電子書籍閲覧サービスや、奈良県生駒市図書館の電子書籍端末の貸出取組み事例が挙げられる。公共図書館における電子書籍サービスの過渡期においては、電子書籍を閲覧する端末の貸出や館内の閲覧などがサービスの中心であったが、近年では非来館型のサービスが展開されている。取組みの事例としては、東京都千代田区立千代田図書館の「千代田web図書館」や、大阪府堺市立図書館の取組みがある。

4.

パッケージ系情報資源とは、非印刷資料の形態の一つで、その代表的なものとしてCD-ROMがある。CD-ROMとはデータの書き込みや削除ができないディスクのことで、カセットテープなどの磁気記憶媒体に比較して再生の劣化が少ないとされる。文字データ、音声データ、画像データ、動画データを載せた記録媒体である。

パッケージ系が何らかの媒体を伴う資料であるのに対して、ネットワーク系情報資源とは物理的媒体を伴わず、ダウンロードやストリーミングによって入手する資料のことを言う。具体例として、無料、或は有料のデータベース、電子書籍や電子雑誌、電子ジャーナルが挙げられる。

5.

CD-ROMとは read only memory の意味で、市販の音楽CDや読取専用のCDがあり、データの書き込みや削除ができないディスクのことで、カセットテープなどの磁気記憶媒体に比較して再生の劣化が少ないとされる。記憶容量は約650~700KBで、文字データ、音声データ、画像データ、動画データを載せた記録媒体である。

CD-ROM普及の起源は1980年代に遡る。1985年10月の『最新科学技術用語辞典』が三修社から発売されたのち、『広辞苑』、『現代用語の基礎知識』『職員録』『模範六法』など、事典や辞書、参考図書を中心に大量の情報を搭載できるCD-ROMが普及した。当時は家庭にパソコンが普及していなかったため、図書館や企業の施設で閲覧・利用することが多かった。1990年代に入ると個人向けのCD-ROMも発売された。『マイペディア』や『スーパー・ニッポニカ日本大百科全書+国語大辞典CD-ROM版』などが発売されたが、これらの事典・辞書類は次第に電子辞書に置き換わっていくことになる。電子辞書とは従来書籍として販売されていた英和辞書や和英辞書をはじめとする参考図書などの内容をデジタル化したもので、液晶画面とキーボードを搭載した携帯電子機器である。公立図書館や大学図書館においては、館内で電子辞書を貸出するサービスも行われた。近年においては、CD-ROM版の百科事典は電子辞書の他にも、大容量で保存できるDVD-ROM版へと変遷していった。

図書館におけるCD-ROMの取扱い上の注意点としては、破損と寿命がある。CD-ROMは書籍よりも壊れやすいため、付属資料としてのCD-ROMはカウンター内で保管し、貸し出される際に一緒に提供するという貸出方式がとられることが多い。また、閉館時の返却用のポストとしても、CDやDVDなどの資料を返却するポストと、図書資料を返却するポストが分離されているケースがある。

寿命についてであるが、CD-ROMの寿命はやく10-30年で、紙の資料が250-700年、酸性紙でもその4分の1程度あることを比較すると、短いため注意が必要である。また、デジタル技術や機器の変化はめまぐるしく、再生機器の確保も考慮に入れる必要がある。

6.

①近代デジタルライブラリーとは、国立国会図書館が運営する、デジタルアーカイブである。デジタルアーカイブはデジタル情報の保存庫としての役割を期待され、デジタル化した資料をインターネット上で検索閲覧を可能にする電子図書館と比較されるが、文化的情報資源を収集・蓄積・保存・提供するという意味ではどちらも同じと言える。近代デジタルライブラリーでは2016年5月でサービスを終了し、その後は国立国会図書館デジタルコレクションにおいてその内容が確認できる。国立国会デジタルコレクションでは、国立国会図書館がデジタル化した資料の検索・閲覧ができ、その収集資料は図書や雑誌、古典籍、博士論文、官報、新聞、憲政資料、日本占領関係資料、プランゲ文庫、化学映像や脚本など多岐にわたる。

②機関リポジトリとは、大学・研究所で生産された様々な学術情報を収集し、蓄積・保存し、発信するためのネットワーク上にあるデータベースのことである。主に大学図書館が提供しているデータベースであり、国立情報学研究所は、大学の機関リポジトリ構築・連携を支援している。大学が機関リポジトリを提供する理由は2点ある。すなわち、①誰でもオンライン上において無料で自由に学術雑誌の入手が出来るオープンアクセスの手段としての運用、②大学の研究や教育活動の実施・推進するための基盤整備として、それらの研究や活動の情報発信、の2点である。

7.

『図書館情報学用語辞典』によると、地域資料は郷土資料とほぼ等しいとされる。ここで、郷土資料とは、図書館の所在する地域や自治体に関係する資料で、以前は郷土史に関する資料を指すとされていた。また、1960-1980年代にかけて『中小レポート』『市民の図書館』などでは郷土資料に多く言及されていた。郷土という語句は生まれ育った土地や故郷であることを強調するのに対して、地域は地方公共団体の行政区画された地域のことを意味する。現在の公共図書館で収集されている資料としては、郷土資料以外にもその地域で生産された出版物や地域在住の人が出版した著作物、口承伝承による言い伝えなどのその地域でしか入手し得ない資料を中心に収集・提供しているという点で、地域資料と呼ぶのが相応しい。

地域資料の具体例としては、地域図書・雑誌、地図、地域新聞やその切り抜き、小冊子、点字資料、ポスター、はがきなどの印刷資料があるほか、近年ではデジタル化した資料の取扱いもある。地域について書かれている記事の見出しや収録新聞、日付などの書誌事項を書誌データベース化し、自前で公開するものとして、富山県立図書館が提供する「富山県立図書館 県内記事情報検索」や豊中市立図書館が提供する「豊中市新聞記事見出し検索」などがある。また、地域資料をデジタルアーカイブで提供する事例として、長野県の県立歴史館、県立長野図書館、信濃美術館・東山魁夷館を中心とした所蔵データを公開している「信州デジくら」などがある。

8.

政府刊行物とは、政府や国際機関が法律或は規則に基づいて一般に公表する目的で作成した刊行物で、主として中央政府の刊行物を指すものとされる。以下で詳細を説明する官報、白書、統計書はその代表的なものである。

官報とは、国立印刷局で発行した、国の公文書など公示事項を国民に周知させるための機関紙のことである。掲載されている内容としては、法律や省令の公布、人事の発令、各省庁の処分・公示事項などがあり、特に法律の公布は官報によってなされるため、重要な情報源であると言える。直近の官報や、平成15年7月15日以降の官報は、「インターネット版官報」で閲覧することが出来、昭和22年5月3日以降の過去のバックナンバーは「官報情報検索サービス」で閲覧することができる。

白書とは、国の政策状況やあるべき姿、統計などを国民に周知する目的で作成された1年に1回刊行される年次報告書のことであり、1947年『経済白書』の刊行がその始まりである。白書は法定白書と閣議決定された白書に分類できる。法律で刊行を決められている白書である法定白書には、『障害者白書』や『ものづくり白書』などがある。このような白書は、近年各省庁のウェブサイトに掲載されており、無料で閲覧することができる。

統計書とは、主に国やその関連機関が発行した白書のことで、具体例として毎年11月に刊行される『日本統計年鑑』や毎年3月に刊行される『日本の統計』などがある。政府関連の統計を調べるには、ポータルサイトである「e-Stat」が利用できる。

9.

オンライン書店とは、リアル書店を持たず、自社のウェブサイトで書籍・雑誌を販売し、自宅やコンビニエンスストアまで注文した書籍を届けてくれるネット書店のことをいう。オンライン書店の①実店舗がなく配達によって販売すること、②大衆向けしなかった本も取り扱われるという特徴から、①遠隔地に住む人々が書店に行かずに本が買える、②ロングテールの購買促進、といった効果が期待できる。

このようなオンライン書店が既存の書店にもたらした影響としては、次のようなものが挙げられる。

オンライン書店として有名なAmazon社などによる作家や読者の囲い込み、斬新な企画や販売方法を展開することで、10代の出版業界は苦境に陥ることとなった。日本の出版業界には委託販売制度という出版社が取次店を介して書店に書籍や雑誌を売り、一定期間内であれば返品を可能にする制度によって新刊が流通している。しかし、オンライン書店では出版社に買い切りや低返品を条件に商品を優先的に仕入れようとするケースもあり、一般の書店に並ぶより数日早く販売されることもある。また、再販売価格維持制度によって定価での販売が既存の書店においては一般的である。再販売価格維持制度とは、出版社が出版物の小売価格を決めて書店で定価販売できる制度のことを言い、全国の書店で同じ価格で書籍が販売されるのは出版業界がこの制度を維持していることによる。オンライン書店では取次を介さない直接取引を行っており、再販制度を維持していた業界の繋がりが崩壊しつつあるといえる。

10.

デジタル雑誌とは、電子ジャーナルとは区別して用いられ、商業雑誌などをオンライン上で読むことができる雑誌のことを言い、電子雑誌とも呼ばれる。近年のコミックやファッション誌雑誌は紙媒体と並行してデジタル雑誌が出版されており、紙媒体より比較的安価に価格が設定されている。

しかし、紙媒体での雑誌とデジタル雑誌が並行して販売されていても、その内容やボリュームに差異が生じることもある。ファッション雑誌において、紙媒体では掲載されていたモデルのグラビアが灰色に表示され、その注意書きも気づきにくいところに小さく表示されていたなど、読者に対する配慮が足りない事件があった。

11.

①電子ジャーナルとは、「従来は印刷物として出版されていた雑誌、とりわけ学術誌と同様の内容を、電子メディアを用いて出版されたもの」と定義される。電子ジャーナルでは、PDF形式やHTML形式で全文を閲覧、入手することが出来、さらに全文中にある参考文献、引用文献のリンクを芋づる式に辿って必要な文献を探し出すことができる。多くの公共図書館においては、利用者に電子ジャーナルを提供できていない状況にある。このような電子ジャーナルは、科学、技術、医学分野に多い。

②デジタル雑誌とは、電子ジャーナルとは区別して用いられ、商業雑誌などをオンライン上で読むことができる雑誌のことを言い、電子雑誌とも呼ばれる。近年のコミックやファッション誌雑誌は紙媒体と並行してデジタル雑誌が出版されており、紙媒体より比較的安価に価格が設定されている。

しかし、紙媒体での雑誌とデジタル雑誌が並行して販売されていても、その内容やボリュームに差異が生じることもある。ファッション雑誌において、紙媒体では掲載されていたモデルのグラビアが灰色に表示され、その注意書きも気づきにくいところに小さく表示されていたなど、読者に対する配慮が足りない事件があった。

12.

電子ジャーナルとは、「従来は印刷物として出版されていた雑誌、とりわけ学術誌と同様の内容を、電子メディアを用いて出版されたもの」と定義される。電子ジャーナルでは、PDF形式やHTML形式で全文を閲覧、入手することが出来、さらに全文中にある参考文献、引用文献のリンクを芋づる式に辿って必要な文献を探し出すことができる。多くの公共図書館においては、利用者に電子ジャーナルを提供できていない状況にある。このような電子ジャーナルは、科学、技術、医学分野に多い。

電子ジャーナルの歴史は、1980年代の学術雑誌の高騰に起源を持つ。大学図書館での学術雑誌の受け入れは、もともと紙雑誌のタイトルごとの契約であったが、1980年代以降の物価上昇率を上回る学術雑誌の価格高騰が問題となった。図書館予算の頭打ち、また、減少の中で、この状況はシリアルズ・クライシスと呼ばれた。1990年代、雑誌の電子化が途上の頃には電子ジャーナルは無料で提供されていたが、大手の学術出版社の学術雑誌の電子化が進むにつれて、電子ジャーナルの提供は有料化し、紙雑誌と電子ジャーナルは別契約での受け入れとされた。さらに、紙雑誌と電子ジャーナルの契約をセットですると7パーセントの上乗せ、電子ジャーナルのサイトライセンス契約の導入も進んだ。サイトライセンス契約では、「特定分野単位のパッケージ契約」や「電子ジャーナルを提供している出版社のすべてのタイトル契約」などへと複雑化を極めた。さらに、電子ジャーナルにおいても価格は高騰し、大学の予算を圧迫した。この危機に対抗するため、研究者や図書館団体はコンソーシアムを形成し、団体による価格交渉を展開させた。電子ジャーナルは契約機関に所属する構成員しか利用できないため、インターネット上で学術論文に自由にアクセスできるようにしようというオープンアクセス運動が生まれた。1998年には、低価格代替誌の出版推進運動として、米国研究図書館協会が中心となってSPARC運動が始まった。2002年2月には「ブダペスト・オープンアクセス・イニシアティブ(BOAI)」が発表され、2003年4月の「オープンアクセス出版に関するベセズダ声明」、2003年10月の「ベルリン宣言」と併せて、オープンアクセスに関する「BBB定義」と呼ばれている。BOAIはオープンアクセスを実現する手段として、セルフアーカイビングとオープンアクセス誌があるとした。ハーナッドは前者をGreen Road、後者をGold Roadと名付けた。Green Roadとは、リポジトリによって提供されるオープンアクセスであり、Gold Roadとはオープンアクセス誌によって提供されるオープンアクセスである。なお、リポジトリには主題リポジトリと機関リポジトリがある。しかし、多くの出版社が雑誌論文発効後にエンバーゴという一定期間公開しない期間を設けていたり、著者最終稿や体裁の整った出版社編集ファイルそのものの提供を禁止したりしており、オープンアクセスの隘路となっている状況がある。一方で、政府や公的機関の補助金を受けてなされた研究などの研究成果は広く公開し、共有されるべきであるとの公共的な圧力も強く働いている。

13.

日本の出版流通の特徴は、次の3点にまとめられる。

①取次が流通の中心を担っていること 取次とは書籍・雑誌などの出版物を出版社からに入れ、小売書店に卸売りする販売会社のことである。言わば、本の問屋さんである。取次の役割は、仕入れ・配本、配送、集金・金融機能などがある。販売実績に基づいたコンピュータ配本によって全国の書店ごとに販売情報や返品情報、在庫情報、客層などのデータを分析し、どの書店に何冊配本するのか決定する。また、大手書店へのPOSデータを大規模出版社と共有している。書店に配本される新刊書の冊数が決まれば、出版社から取次へ、取次から書店へ本の物流を行う。取次は書店に搬入した代金を回収し、各出版社に支払う金融機能も持ち合わせている。各出版社に支払う金融機能も持ち合わせている。各出版流通の基本マージンは、取次は7-8パーセントで、小売店は22-23パーセント、出版社は70パーセントの取り分となる。また、出版社から持ち込まれた書籍の書誌情報を抜き取り、書誌データベースを作成してこの書誌情報をもとに取次や書店の在庫情報に役立てている。この作成された書誌情報は、図書館界においてはMARCに姿を変えて販売されており、これはいわゆる民間MARCと呼ばれるものである。

②委託販売制度によって新刊が流通していること 委託販売制度とは、出版社が取次を介して書店に書籍や雑誌を委託販売しているため、一定期間内であれば売れ残った商品を返品することができる制度のことである。委託販売制度は、出版取引の一つである。委託期間を過ぎると取次が在庫処分をすることになる。現在、書籍は平均して40パーセントの返品率がある。(また、一度小売店で販売し、返品を認めない制度を買切り制、或は売切り制という。Amazonのように、出版社に買い切りや低返品を条件として、商品を優先的に仕入れようとするケースもある。そのため、Amazonでは新刊本が店頭に並ぶ2-3日前から販売されていることがある。また、一般の書店同様、近日刊行の予約受付も行っている。)

③再販売価格維持制度(以下「再販制」とする)、定価販売が一般的であること。 再販制度とは、出版社が出版物の小売価格を決め、書店で定価販売できる制度のことを言う。1956年に制定され、日本全国のどこの書店でも同じ価格で書籍が販売されるのはこのためである。

日本の出版流通の特徴は、出版社から書店に書籍や雑誌が流通するのに取次を介していることである。一般的な出版流通では、出版社は多くの読者に読んでもらうため、取次を介して本を流通させる。出版社から取次へ、取次から書店へ、そして書店から読者の手元に届く。このルートは、物流の約70パーセントを占めるメインルートであると言える。ここでは委託販売制度を基盤としており、原則は定価販売である。

また、近年ではオンライン書店での購入も増加している。オンライン書店で購入した書籍は、自宅への宅配以外にもコンビニエンスストアや書店で受け取りが可能である。また、電子書籍も販売されている。ここでは、出版社から取次を介して、あるいは取次を介さずにオンライン書店へ書籍・電子書籍が流れ、そして読者のもとへ届く。

コンビニエンスストアの主力商品に、雑誌や漫画、文庫本などがある。CSVルートは、流通における約13パーセントを占めている。コンビニエンスストアは他のルートと異なり、販売体制が年中無休で約5万点と店舗数が多い。最近では、コンビニチェーン店独自の出版物も増加している。ここでは出版社から取次へ、取次からコンビニエンスストアへ、そして読者のもとへ書籍が渡る。

大学生協や生協を介するルートは、流通の約2パーセントを占める。大学の生協では、授業で使用する教科書を中心に販売する。ここでは、出版社から取次へ、取次から大学生協や生協へ、そして読者のもとに届く。

地方・小売出版流通センターでは、販売実績の少ない出版社や、地方出版社、あまり書店で見ることが少ない少部数の出版物を取り扱っている出版社を取次及び書店に流通させる役割を担っている。ここでは、出版社から地方・小売出版流通センターから取次を介して、或は取次を介さずに書店へ流通させ、そして読者のもとへ書籍等が届く。

このほかにも、ベネッセや学研などの出版社直属の代理店によって販売するルートや新聞・雑誌広告などにより直接注文を受け付ける販売ルートがある。

14.

①委託制 委託販売制度とは、出版社が取次を介して書店に書籍や雑誌を委託販売しているため、一定期間内であれば売れ残った商品を返品することができる制度のことである。委託販売制度は、出版取引の一つである。委託期間を過ぎると取次が在庫処分をすることになる。現在、書籍は平均して40パーセントの返品率がある。(また、一度小売店で販売し、返品を認めない制度を買切り制、或は売切り制という。Amazonのように、出版社に買い切りや低返品を条件として、商品を優先的に仕入れようとするケースもある。そのため、Amazonでは新刊本が店頭に並ぶ2-3日前から販売されていることがある。また、一般の書店同様、近日刊行の予約受付も行っている。)

②再販制 再販制度とは、出版社が出版物の小売価格を決め、書店で定価販売できる制度のことを言う。1956年に制定され、日本全国のどこの書店でも同じ価格で書籍が販売されるのはこのためである。

15.

日本の書店には以下のような特色と強みがあり、これら2つが特徴であると言える。

また、最近の書店経営の実態として、多くの書店においてはベストセラー本ばかりおいていることが指摘できる。(132頁以下参考)

16.

図書館における電子書籍サービスとしては、まず過渡期の働きとして、北海道岩見沢市図書館の電子書籍閲覧サービスや、奈良県生駒市図書館の電子書籍端末の貸出取組み事例が挙げられる。公共図書館における電子書籍サービスの過渡期においては、電子書籍を閲覧する端末の貸出や館内の閲覧などがサービスの中心であったが、近年では非来館型のサービスが展開されている。取組みの事例としては、東京都千代田区立千代田図書館の「千代田web図書館」や、大阪府堺市立図書館の取組みがある。

今後の電子図書館サービスの方向性としては、近年増加してきた電子書籍について非来館型のサービスを地域差なく拡大していくことがまず考えられる。ここで、電子図書館とは、ネットワーク上で図書館情報資源を提供するものであり、なんらかのかたちで全文テキスト化或は画像処理を行ったものをコンピュータに蓄積し、インターネット上で検索と閲覧できるものをさすことが多いものと定義される。図書館法第3条では図書館が収集すべき資料が列挙されるが、その中に物理的媒体を伴わないネットワーク情報資源は明記されていない。しかし、図書館情報資源とは図書館サービスに必要な資料はすべて含むものという考えに立つと、これらの情報資源も公共図書館は収集すべきであり、一層の電子図書館の発展が望まれる。今後の電子図書館の課題となるのは、動画の配信であるように思われる。公共図書館が今後採るべき方向性は、動画の配信自体を目的として契約の更新や肖像権の取得といった問題に重きを置いて労力をかけるのではなく、そもそも図書館において収集すべき情報資源とは何かという点に立ち返り、如何なる動画を収集・配信すべきかを検討することである。図書館法に挙げられる、土地の事情、一般公衆の希望、学校教育の援助、家庭教育の向上等の考慮要素を踏まえるとともに、保存が目的のデジタルアーカイブとの役割分担を意識して、如何なる情報資源がネットワーク上の動画配信に適切かを決断して、その提供に向けて努力すべきである。現在抱えている動画配信に関する課題は、「動画」という情報資源一般の配信を想定するため生じる問題である。直接来館しDVD等の貸出を行う以上に、ネットワークを利用して配信すべき積極的な理由が生じる資料にまず限定するなど優先順位をつけて、その契約や権利の取得を講じることが望ましい。

17.

国立国会図書館の電子図書館事業としては、平成21年の著作権法改正以降、国立国会図書館が所蔵する資料を保存する目的でのデジタル化が可能となったことが挙げられる。これらの資料は、国立国会図書館デジタルコレクションで検索、閲覧が可能となっている。また、2014年1月より、図書館向けデジタル化資料送信サービスが開始された。このサービスは、国立国会図書館がデジタル化した資料のうち、絶版などのため市場に流通しておらず、オンデマンド出版などでも商業的に出版されていない、図書館が入手困難な資料が対象となっている。国立国会図書館の承認を受けた図書館は、インターネットを通じて館内においてこれらの資料の閲覧と複製が可能となる。

資料のデジタル化に際しては著作権が問題となり、日本でも上記著作権法の改正や、2014年の裁定制度の改正によってデジタルアーカイブ化が進んできた。米国等においては、オプトアウト方式によって著作権処理をスムーズにしている。この方式を利用して、グーグルではGoogle Booksという書籍全文データベースが構築されている。これはスタンフォード大学やハーバード大学などお主要な大学図書館の協力のもと、所蔵資料のデジタル化を行ったものである。デジタル化され公開されている資料は、大学図書館が所蔵する著作権の保護期間が切れた書籍を中心である。Google Books を利用した図書館のデジタル化プロジェクトにおいては、プロジェクトにかかる費用はGoogleが負担し、電子データの権利もGoogleが保有する。原資料所蔵の図書館にはPDFファイルのみの提供となる。

18.

近代デジタルライブラリーとは、国立国会図書館が運営する、デジタルアーカイブである。デジタルアーカイブはデジタル情報の保存庫としての役割を期待され、デジタル化した資料をインターネット上で検索閲覧を可能にする電子図書館と比較されるが、文化的情報資源を収集・蓄積・保存・提供するという意味ではどちらも同じと言える。近代デジタルライブラリーでは2016年5月でサービスを終了し、その後は国立国会図書館デジタルコレクションにおいてその内容が確認できる。国立国会デジタルコレクションでは、国立国会図書館がデジタル化した資料の検索・閲覧ができ、その収集資料は図書や雑誌、古典籍、博士論文、官報、新聞、憲政資料、日本占領関係資料、プランゲ文庫、化学映像や脚本など多岐にわたる。

近代デジタルライブラリーはデジタル化する前の資料の存在を前提とする、情報資源の保存方法であるが、近年ではそのような現実に媒体を持たない、インターネット上の情報資源も存在する。このようなウェブサイトなどの特徴として、内容が頻繁に更新・削除されやすいことが挙げられるため、ウェブアーカイビングが求められるのである。

国立国会図書館におけるインターネット資料収集保存事業がその具体例として挙げられる。これは、国や自治体、地方公共団体、大学などの公的機関のウェブサイトを中心に収集、保存、提供するデータベースである。2010年の国立国会図書館法改正により、国、地方公共団体、大学法人などの公的機関のウェブサイトについては、許諾なしで収集することが可能となった。これを制度収集とも言う。収集の際には、「go.jp」などのドメインに基づいたバルク収集を行っており、収集対象となるウェブページはURLで管理される。収集対象となったウェブサイトは、クローラーというソフトウェアによって最初の起点URLのウェブページからリンクを辿って収集される。収集機関は国だと年に1回、それ以外の制度収集の対象機関では年に4回収集している。

19.

灰色文献とは、非市販資料や入手困難資料のことを言い、書店や取次などの一般的な出版流通のルートに乗らず、存在を確認することや入手することが難しい資料のことを言う。一般的に、草稿原稿などの下書きは含まれず、国内外で公開されているものを指す。灰色文献の具体的なものとしては、研究機関が研究成果を報告するテクニカルレポートや会議に関連して作成される会議資料、学位論文などが挙げられる。また、国立国会図書館内にある「県政資料室」では、主に近現代日本政治史に関する資料が所管されており、その多くは公文書のほか、政治家や軍人などの個人の日記や書簡なども灰色文献とされている。

近縁では情報資源がインターネット上で流通することで、様々なデータベースによって閲覧や入手が可能となった。紙資源が主であった時代においてはどのような資料が灰色文献であるかの区別が容易であったが、現代ではインターネット上で出版流通されている灰色文献もあり、その区別が困難を極めている。

灰色文献は配布先として対象になる人々が限定されており、刊行部数が少なく非売品であり、書誌事項に不備があったり不統一であったりするという特徴を持つ。しかし貴重な内容であることが多いため、図書館資料として収集する必要性が生じるのである。

20.

図書館情報資源概論では、情報資源の種類やその特質を学ぶとともに、その生産や流通について概観する。さらに、それら情報資源の図書館でのコレクションの構築の在り方について学ぶ科目であると言える。図書の収集、整理、提供、保存という図書館における機能を考察することは、本科目で学んだ情報資源の大略についての具体的な理解を促進しうる重要なものであると位置づけられるだろう。

私が購入した参考図書は以下のものです。必要な範囲でご参照ください。
図書館情報資源概論 (現代図書館情報学シリーズ)

図書館情報資源概論 (JLA図書館情報学テキストシリーズ 3-8)

図書館情報資源概論 (ライブラリー図書館情報学)

図書館情報資源概論 (ベーシック司書講座・図書館の基礎と展望)

情報の特性と利用‐図書館情報資源概論‐

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