5707 児童サービス論 レポート解説

児童サービス論のレポート作成について書きます。

レポート設題集は使用期間平成27年4月1日~平成29年3月31日のものを使用しています。

また、勉強の流れについてはこの記事で、レポートの書き方一般についてはこの記事で説明していますので、併せて一読頂けると以下の記事も読みやすいかと思われます。

繰り返しになりますが、丸写しのレポートは再提出になりやすいようなので、参考にとどめてください。

 

本設題においては、模範解答のようなものが想定されており、それに対して必要十分な解答が作成できるかが合否を分かつポイントだと思います。

(試験問題なら兎も角、あまり自由度のないレポートの設題は適切なのかな、と疑問に思いますが、求められる解答が重箱の隅を突くようなものではなく、児童サービス論の科目における本質を考えさせるものだと思うので、今回に限って言えば適切な出題かなという印象です。)

私は3回目で漸く合格することができました。

 

1. 設題の分解と書き出し

児童サービス論の設題は以下のようなものでした。

「「読書の楽しみ」が子どもの成長に果たす役割を述べ、児童サービスの必要性を説いてください。そして子どもと本を結ぶために、あなたならどのような働きかけをしますか。具体的に述べて下さい。」

この設問で聞かれていることを強調すると、

「読書の楽しみ」が子どもの成長に果たす役割を述べ児童サービスの必要性を説いてください。そして子どもと本を結ぶために、あなたならどのような働きかけをしますか。具体的に述べて下さい。」

と、重きを置くことが出来ると思います。

再提出の際に講評で教えていただいたこととも重複しますが、本設題には3つの設問があり、それに確実に解答する骨組みを採るレポートが合格を頂けるものとなるでしょう。即ち、

①「読書の楽しみ」が子どもの成長に果たす役割を述べる。

②児童サービスの必要性を述べる。

③自身が図書館の司書として子どもと本を結ぶ働きかけを具体的に述べる。

 

また、とにかくテキストを読むことと、参考文献を必ず挙げることをご指摘いただきました。

テキスト理解が基本となることについてはレポートの書き方の記事で既に述べましたかと思いますが、今回は特に意識されると良いでしょう。

 

 

2. 設題①、設題②、設題③

2-1. 設題①

まず、「読書の楽しみ」が子どもの成長に果たす役割を述べますが、テキストの1~3頁を参考に述べると良いようです。

ここにおいては終末試験解答案の1.2.が参考になると思います。

2回目の提出の際の講評では、①においてさらに詳しく述べるようにアドバイスを頂いたので、ポイントを書き落とさないよう、詳しすぎるくらい説明して良さそうです。

まず「読書の楽しみ」とはどのようなものか説明し、そのような楽しみが子どもの成長においてどのように寄与するのかを説明します。

「読書の楽しみ」の役割は特に精神面での子どもの成長を促すことですが、精神面での成長が促されるとはどういうことかを意識して説明しました。

設題①は以下のようにまとめられました。

 

まず、「読書の楽しみ」とは何か、そして子供の成長において果たされる役割について述べる。

 思うに、子どもにとっての「読書の楽しみ」とは、読書によってもたらされる強い心の体験や感情の起伏のことである。即ち、子どもは本を読んでもらい、或は自分で本を読むと、想像力を働かせて本の中に入り込み、主人公や登場人物となって考え行動し、その結果の喜怒哀楽を味わうのである。子どもにとってこの体験は面白く、感動として心を揺さぶられる。

  このような「読書の楽しみ」は、子どもの精神面での成長を促す。既述のような読書体験を積み重ねることで、子どもの中に本の中での体験が蓄積されていく。本の中での楽しい経験や苦しい経験から、思いやりや優しさといった感性を育むとともに、思考力や判断力といった知性も醸成され、感性と理性が相まって子どもの精神を鍛えてゆくのである。また、このような読書は子供が発達成長していくにつれて多様なものとなる。子どもが成長するに伴って、より複雑な物語も読むようになったり、科学読み物によって科学をする心が芽生えたり、さらに年齢が高くなれば自身の趣味に沿う実用書にも関心を持つようになったりするのである。読書を通して子どもは自身の好みや興味関心、得手不得手など自分を知り、将来の展望について考えることが可能となる。

 

2-2. 設題②

次に、児童サービスの必要性を述べますが、ここはテキストのp.15とp.16を参考に述べていきました。

また、設題が3つ明確に指示されているとはいえ、

「「読書の楽しみ」が子どもの成長に果たす役割とは…である。

児童サービスの必要性とは…である。

子どもと本を結ぶために、私なら…という働きかけをする。」

というように機械的にぶつ切りの解答を作成するのは横着な印象です。

明確に指示されている設題に対して、流れるような解答を作成して先生の要求に応えるのが敬意のある態度であるように思われます。

したがって、設題①で述べた読書の楽しみの重要性を踏まえて、それが失われつつある現状であるところの、「読書離れ」に簡単に言及し、それに対抗するための手立てとして児童サービスに触れました。

その上で、児童サービスの必要性を述べていきます。

 

一般的に、○○の必要性がある/必要であるという場合、往々にして現状における不備や不足、問題点などが前提となります。

まずそれらの不備不足、問題点に言及すると、必要性の議論に流れやすいでしょう。

なぜ必要なのかを述べることです。

 

以上より、設題②は次のようにまとめられます。

 

 以上のように、「読書の楽しみ」は子どもの成長を促すものとして重要であるが、近年においては子供の読書離れが問題となっている。この現状を踏まえ、図書館における児童サービスでは働きかけが特に重視されている。

 児童サービスとは、子どもに読書の喜びを知ってもらうために公共図書館が行っているサービスで、子どもの読書の意義を認め、子どもと本を結びつけ、子どもが読書の楽しみを知って定着するように奨励する、様々な活動や工夫、配慮やそのための環境づくりや条件整備を含めたものである。

 上記の児童サービスが提供される公共図書館には、社会的機能として次の働きが期待される。子どもが地域の図書館へ行くと、老若男女様々な人や子どもと出会う。そして、子どもは図書館の蔵書の利用を通じて、皆の物である本を共有している、という感覚を養う。このようにして、子どもが他者を知り社会というものに気づき、それらと繋がっているという感覚を育てていくことが、図書館の持つ社会的な働きと言える。さらに、子どもは読書の楽しみを見出して図書館へ通うことで、図書館に自分の居場所を見つける。この自分の図書館であるという気持ちが強くなると、ルールを守って大切にしようとする。これが「公共性」への理解へと繋がるため、幼い頃から子供を図書館に連れていくことには意義がある。

 

2-3. 設題③

ここでは、自身が図書館の司書として子どもと本を結ぶ働きかけを具体的に述べますが、特に専門職である司書として行える働きかけについて述べることが求められています。

すなわち、まず図書館の直接サービスと間接サービス(テキストのp.45からp.54)にはどのようなものがあるかを列挙し、その上で自身が有効と思われる働きかけに重点を置いて論じると良さそうです。

図書館の直接サービスと間接サービスを列挙するのは、3回目の提出に先立ってアドバイス頂いたことによります。

設問との関係において、なぜ列挙すべきなのかは私には理解できませんでしたが、テキストの理解が求められているという意味では必要だったのかな、と今は思っています。

(レポートを通してしか、自身が勉強したことをアピールする手立てがありませんので。)

それらを踏まえて、設題③は以下のようにまとめました。

 

 続いて、子どもと本を結ぶ働きかけについて私見を述べる。「読書の楽しみ」が子どもの成長にとって重要であるのは既に述べたが、これを感じるには読書が押付けられたり強制されたりせず、自らの意志において読書をすることが肝要である。この点を踏まえて司書が出来る仕事とは、「読書の楽しみ」を与えてくれる本の存在を知らせることである。自分の興味関心に沿う本の存在を知ることで、子どもは自発的に本を読み、「読書の楽しみ」を見つけると期待できることから、以下の働きを重視したい。

 子供と本を結ぶ働きかけとして、直接的なものとしては①フロアワーク、②読み聞かせ、③ストーリーテリング、④ブックトーク、⑤アニマシオン、⑥レファレンス、⑦読書案内、⑧行事、文化・集会活動、⑨乳幼児サービスがある。筆者が特に力を入れて取り組みたい直接的な児童サービスは読書案内である。企画されたブックトークに限られず、フロアワーク中やカウンターでの貸出返却業務中、レファレンスサービスを通じてなど、子どもと接する機会があればいつでも読書案内の働きかけを行いたい。子ども専用カウンターがない、或はフロアワークを行う余裕がない図書館であっても、子どもの存在を気にかけて積極的に活動していきたい。

 また、間接的な児童サービスとして、①児童書の分類・配架、②書架整理、③展示・掲示、④ブックリスト・主題冊子目録、⑤広報・PRなどが挙げられる。筆者は子どもに本の存在を知らせることが重要と考えるため、展示・掲示の業務に注力して働きかけをしたい。具体的には、本をあるテーマに沿って収集・展示すると、読んだことのある本でも新たな読み方・楽しみが見いだせたり、好きな本と同じテーマで紹介される新しい本と出会ったりして、子どもと本を結びつけることが期待できる。既述のような、子ども専用カウンターがないなどの児童サービスに限界がある図書館においても、十分展開可能なサービスであり、重きを置いて取組むべき業務である。

3. 解答例

 

以上を踏まえて、私が作成したレポートがこちらです。

 

  本稿は「読書の楽しみ」が子どもの成長に果たす役割を踏まえて児童サービスの必要性を考察し、子どもと本を結ぶ働きかけについて私見を展開するものである。

 まず、「読書の楽しみ」とは何か、そして子供の成長において果たされる役割について述べる。

 思うに、子どもにとっての「読書の楽しみ」とは、読書によってもたらされる強い心の体験や感情の起伏のことである。即ち、子どもは本を読んでもらい、或は自分で本を読むと、想像力を働かせて本の中に入り込み、主人公や登場人物となって考え行動し、その結果の喜怒哀楽を味わうのである。子どもにとってこの体験は面白く、感動として心を揺さぶられる。

  このような「読書の楽しみ」は、子どもの精神面での成長を促す。既述のような読書体験を積み重ねることで、子どもの中に本の中での体験が蓄積されていく。本の中での楽しい経験や苦しい経験から、思いやりや優しさといった感性を育むとともに、思考力や判断力といった知性も醸成され、感性と理性が相まって子どもの精神を鍛えてゆくのである。また、このような読書は子供が発達成長していくにつれて多様なものとなる。子どもが成長するに伴って、より複雑な物語も読むようになったり、科学読み物によって科学をする心が芽生えたり、さらに年齢が高くなれば自身の趣味に沿う実用書にも関心を持つようになったりするのである。読書を通して子どもは自身の好みや興味関心、得手不得手など自分を知り、将来の展望について考えることが可能となる。

 以上のように、「読書の楽しみ」は子どもの成長を促すものとして重要であるが、近年においては子供の読書離れが問題となっている。この現状を踏まえ、図書館における児童サービスでは働きかけが特に重視されている。

 児童サービスとは、子どもに読書の喜びを知ってもらうために公共図書館が行っているサービスで、子どもの読書の意義を認め、子どもと本を結びつけ、子どもが読書の楽しみを知って定着するように奨励する、様々な活動や工夫、配慮やそのための環境づくりや条件整備を含めたものである。

 上記の児童サービスが提供される公共図書館には、社会的機能として次の働きが期待される。子どもが地域の図書館へ行くと、老若男女様々な人や子どもと出会う。そして、子どもは図書館の蔵書の利用を通じて、皆の物である本を共有している、という感覚を養う。このようにして、子どもが他者を知り社会というものに気づき、それらと繋がっているという感覚を育てていくことが、図書館の持つ社会的な働きと言える。さらに、子どもは読書の楽しみを見出して図書館へ通うことで、図書館に自分の居場所を見つける。この自分の図書館であるという気持ちが強くなると、ルールを守って大切にしようとする。これが「公共性」への理解へと繋がるため、幼い頃から子供を図書館に連れていくことには意義がある。

 続いて、子どもと本を結ぶ働きかけについて私見を述べる。「読書の楽しみ」が子どもの成長にとって重要であるのは既に述べたが、これを感じるには読書が押付けられたり強制されたりせず、自らの意志において読書をすることが肝要である。この点を踏まえて司書が出来る仕事とは、「読書の楽しみ」を与えてくれる本の存在を知らせることである。自分の興味関心に沿う本の存在を知ることで、子どもは自発的に本を読み、「読書の楽しみ」を見つけると期待できることから、以下の働きを重視したい。

 子供と本を結ぶ働きかけとして、直接的なものとしては①フロアワーク、②読み聞かせ、③ストーリーテリング、④ブックトーク、⑤アニマシオン、⑥レファレンス、⑦読書案内、⑧行事、文化・集会活動、⑨乳幼児サービスがある。筆者が特に力を入れて取り組みたい直接的な児童サービスは読書案内である。企画されたブックトークに限られず、フロアワーク中やカウンターでの貸出返却業務中、レファレンスサービスを通じてなど、子どもと接する機会があればいつでも読書案内の働きかけを行いたい。子ども専用カウンターがない、或はフロアワークを行う余裕がない図書館であっても、子どもの存在を気にかけて積極的に活動していきたい。

 また、間接的な児童サービスとして、①児童書の分類・配架、②書架整理、③展示・掲示、④ブックリスト・主題冊子目録、⑤広報・PRなどが挙げられる。筆者は子どもに本の存在を知らせることが重要と考えるため、展示・掲示の業務に注力して働きかけをしたい。具体的には、本をあるテーマに沿って収集・展示すると、読んだことのある本でも新たな読み方・楽しみが見いだせたり、好きな本と同じテーマで紹介される新しい本と出会ったりして、子どもと本を結びつけることが期待できる。既述のような、子ども専用カウンターがないなどの児童サービスに限界がある図書館においても、十分展開可能なサービスであり、重きを置いて取組むべき業務である。

 子どもと本を結びつける活動は、今後も様々に試まれ、展開されていくだろう。どのような働きかけが子どもが「読書の楽しみ」を見つけるにあたって有効か、今後も研究を継続したい。

参考にした文献は以下のものです。

林左和子「日本の公立図書館児童サービスの達成度測定の試み」静岡文化芸術大学紀要14号53-55頁(2013年)

加藤ひろの「子どものための選書を目指す:知的自由を持ち権利と意志を持つ子どもたちへ」図書館界第63巻第2号164-175頁(2011年)

ciniiで検索すると図書館界の論文や最新の研究に関する文献がヒットするので、文献の検索の練習も兼ねて色々と読んでみると面白いです。

ただ繰り返しになりますが、テキストの理解がレポート作成や試験問題解答の基本になることを常に意識する必要があります。

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