5803 図書館サービス特論 科目終末試験解答案

先日、11月にweb受験した科目の合否が返ってきました。図書館サービス特論は「優85」、図書・図書館史は「秀90」の評価を頂き、単位の取得が待たれるものはメディア授業の2科目のみです。

有難いことに、このブログには1日あたり50~60人の方が訪問してくださっています(テストの前日は500人ほどでした!)。

ブログを始めた当初は自分の勉強の記録が主な目的で、あわよくば、同様に通信教育で学ぶ誰かの何かに(笑)なればよいなと思っていた程度ですが、今となっては読者の方々の存在を意識せずにはいられません。

合格の結果が出るのを待たずに、レポート解説や解答案をアップするのは無責任な気がして、結果が手元に届くまではアップが出来ず、いつも遅れてしまいます。合格するのを目的に、勉強を頑張っている人が、わざわざ時間を作って来てくださっているわけですから、それ相当の質の情報を提供したいものです。(ここまで言い訳)

 

今年もあと少しですが、皆さま頑張りましょう!

 

 

図書館サービス特論科目終末試験問題集解答案

1.
子育て支援サービスとは、図書館における課題解決支援サービスの一形態である。展開される図書館によって具体的内容に差異があるが、実践例としては以下のものが挙げられる。
仙台市太白図書館においては、医療・健康情報に関する課題解決支援サービスの一つとして、「子育てサポートコーナー」が設置されている。子育てに関する資料を集めるほか、「子育て支援室」としてベビーベッドや一人がけ座椅子、乳幼児用のおもちゃの利用ができる。
また、立川市幸図書館の子育て支援コーナーの取組みも注目される。子育てに関する資料を集めた「子育て支援コーナー」には、妊娠・出産から高校生の教育まで、本だけではなく地域の子育て情報誌なども閲覧できる。子育て関連資料が1ヶ所にまとめて置いてあるので、ワンストップで様々な情報が得られる。子育て世代の利用者に限られず、子育てをサポートする活動を行う利用者にも有用である。また、館内だけではなく、ホームページ上でも子育て支援に関する資料の紹介を行っている。

2.
課題解決支援サービスとは、地域が抱える課題の解決を支援するために図書館が提供するサービスである。具体的には、地域においての時事問題、すなわち地域が抱える様々な課題から生じる問題を持っている住民や行政機関、企業を利用者として、学習や調査研究を支援するために、図書館が、図書館資料を提供するのみならず、資料に含まれている情報を取り出し、参考資料を編集・加工して利用者に届けること、また、それをもとに、図書館資料の利用のための相談に応ずることである。各々の図書館が実践している課題解決支援サービスを見れば、その地域における課題として重要であるものが分かり、当該地域の図書館活動の特徴として捉えることができる。
このような課題解決支援サービスが今日において重点を置いて展開されている理由として、いわゆる貸出至上主義であった図書館サービスへの反省と、情報社会と言われる時代の変化への対応の要請が考えられる。
1980年後半以降より、貸出サービスが中心であって図書館の在り方に関する検討が続けられている。その帰結として、2006年に「これからの図書館の在り方検討協力者会議」において『これからの図書館像―地域を支える情報拠点をめざして―(報告)』(以下、「これからの図書館像」とする)が発表された。この報告は、図書館は従来の貸出サービスを維持しながら、地域の課題解決を支援する新しいサービスの展開を行うことを提案したものである。
また、現代社会は情報社会と言われ、大量の情報が流通しており、必要な情報を必要な時に必要な場所で的確に入手することが困難を極めている。地域の抱える課題に対応した課題解決支援サービスの提供によって、「ワンストップサービス」機関としての図書館の機能が果たせると考えられる。
地域や住民の抱える課題を解決するために必要な資料や情報を提供し、その課題解決に役立つ機関であることが、今日および将来の図書館に求められているのである。

3.
生涯学習を目標とする教育施策の一環として、特定分野に限られない広範囲でのボランティア活動の支援が進められており、図書館でのボランティアの受け入れも例外ではない。全国の公立図書館のうち、全体の9割近くの図書館でボランティア活動が行われているが、それらの活動導入の目的としては以下のものが挙げられる。
公共図書館においてボランティア活動を導入している目的としては、「利用者にとって充実したサービスを提供できるから」、「自己実現・生きがいにつながる学習の場を提供できるから」、「ボランティアの視点やアイデアにより図書館運営が活性化するから」、「利用者にとって親しみやすい施設となるから」という理由が上位を占めている。

4.
図書館におけるボランティア活動を「①読書活動の推進支援」、「②文化・芸術の振興支援」、「③子育て支援」、「④学校教育支援」、「⑤地域づくり・まちづくりへの支援」の5種類に分類した調査の結果、「子育て支援」が最も多い活動として挙げられる。具体的な活動の内容としては、「図書館において、乳幼児、児童を対象とした絵本の読み聞かせ、親子を対象とした絵本講座等」、「読書活動推進のためのイベントに関すること」、「学校での読み聞かせ、ブックトーク等」、「育児相談やブックスタートの場等での絵本紹介・読み聞かせ・子育て相談等」が上位を占めている。

5.
図書館における多文化サービスとは、民族的、言語的、文化的少数者を主な対象者とする図書館サービスのことを指す。多文化サービスは、移民や難民などのマイノリティの受け入れに端を発し、その言語や文化を尊重する多文化主義へと変容してきたという歴史を持つ。多様な民族が混在するアメリカにおいては、以下のように図書館の多文化サービスが展開された。
1960年代後半より、連邦政府の援助を得て、エスニック・マイノリティを対象とする図書館サービスが活発に展開された。イリノイ州のローリング・メドーズ図書館においては、遠距離で来館できない利用者のため、ヒスパニック系住民が多く住む地域に分室を開設した。スペイン語を母語とするヒスパニック系アメリカ人は、アメリカにおいて急激に増加した民族集団の一つであった。また、マイノリティの潜在的な利用者に対して図書館の利用を促すために、ラジオやテレビを通しての図書館の宣伝活動や、人々が集まると思われるところに図書館の広告を設置するなどの手段がとられた。
1980年代には英語を第二言語とする多文化人口が全体の3分の1を上回るほどになり、図書館サービスや利用者の需要の見直しが促進され、公共図書館の多文化サービスに関する大々的な調査に帰結した。この調査では、予算、サービス対象の言語、明文化した多文化サービスのガイドラインやマニュアルの有無、多文化サービス専従職員の有無や担当職員の研修など、多岐にわたる項目が問われた。この調査の回答により、現状のサービスにおける多くの問題が明らかになった。具体的には、どの図書館においても資金不足のために多文化人口に対するサービスが困難となっていること、予算が多くなるにつれて多文化サービスが広く行われるようになる一方で、多様なコミュニティの状況に追いついている図書館が少ないこと、多くの図書館においては多文化サービスの捉え方を模索中であることなどが挙げられる。多文化サービスのというものが確立されていないため、専門の職員を配置している機関が稀であり、事実上の多文化サービス担当の職員が置かれている場合もあった。また、研修に関しては、職員に関して何らかの研修の機会を設けている図書館が39パーセント占めているが、特に利用者サービス担当の職員に対するものが多いようであった。具体的な研修の内容としては、文化の多様性の認識と理解、資料の収集に関する知識などが挙げられた。
現在において比較的多くの図書館が取り組んでいるサービスとしては、識字、或はESLプログラムである。マイノリティはもともと母国語でも読み書きができないケースも少なくないので、英語力の乏しい人にも生活上の情報、教育、レクリエーションなどを提供する機関として、図書館に求められる役割は非常に大きいと言える。

6.
日本の公共図書館における多文化サービスは、1986年の「多文化社会図書館サービス分科会及び全体会議決議」において多文化サービスの遅れが指摘されたことが転機となり、その後のサービス展開が促進された。日本図書館協会の「公立図書館の任務と目標」、文部科学省の「公立図書館の設置及び運営上の望ましい基準」、司書課程のテキストによっても取り上げられ、多文化サービスは一定の理解を図書館界で得たといえよう。
また、多文化サービスの提供に関しては、マイノリティの情報ニーズ調査が重要となる。図書館は、利用者のニーズ分析に基づいて資料と利用者を結びつけることが求められるためである。マイノリティに関しては、出身国で図書館を利用した経験が乏しかったり、求める資料が図書館にあることや図書館が無料で利用できることなどを知らなかったりするなど、様々な理由のために図書館が利用されていない状況にある。マイノリティの利用者に、必要な情報入手のために居住地域の図書館の利用してもらうことの促進を目指すには、彼らの情報環境や情報入手行動などを分析し、適切な情報の伝達方法を準備
することが求められる。
したがって、資料の収集と提供、および多言語による図書館利用案内の作成などが中心であった従来の日本の図書館における多文化サービスは十分であるとは言えない。今後はマイノリティ住民の情報ニーズと情報入手行動調査を踏まえた上で戦略的な計画を立てることが求められる。
多文化サービスの内容としても、民間団体や個人の運営に負うところが多い。神奈川県川崎市立川崎図書館の「韓国・朝鮮コーナー」を例にとってみると、川崎市と友好関係にある韓国富川市の市長が見学に訪れ、後日800冊余りのハングル資料を提供し、言語資料がより充実させられたという歴史がある。多文化サービスの第一の意義はマイノリティの情報に対するアクセシビリティの保障であるが、第二の意義としてマイノリティではない利用者がマイノリティの文化について学ぶ資料の提供を通して、互いの理解を深めることが挙げられよう。相互理解を進展させるため、公的な援助や活動を行い、多文化サービスに関して積極的な姿勢を明確に見せることが期待される。

7.
1950年に図書館法が制定された。これ以降の図書館サービスの変遷は以下のようにまとめられる。
1950年の図書館法の制定は、公立図書館制度の確立を目指したものである。これによって、公共図書館の無料化が規定された。また、基本的な図書館サービスの内容も規定された。具体的には、図書館資料の収集、一般公衆の利用のための提供、分類排列、目録整備、利用のための相談、分館設置、自動車文庫、研究会や資料展示会の開催の奨励、時事に関する情報及び参考資料の紹介・提供や、他の図書館・学校・博物館との連絡・協力などである。ここにおける利用のための相談とは今日のレファレンスサービスの1分類であり、また、時事に関する情報及び参考資料の紹介・提供とは、近年活発に展開されている課題解決支援サービスの走りと捉えることができよう。
1960年代に入ると、公立図書館は貸出サービスに重きを置いたサービス展開を行うこととなる。1970年代の図書館の急速な増加とともに、利用者や個人への貸出冊数が増加し、いわゆる「貸出至上主義」といった批判がなされるようになった。
1980年代以降、行政改革、とりわけ構造改革によって公的なサービスが民営化される流れにある。図書館におけるサービスも、利用者への直接サービスだけでなく、図書館の設置計画から運営全般、日常のサービス業務、資料選定など、業務の部分あるいは全般にわたって民間が担っている状況にある。本来、図書館業務というものは公共サービスの一つとして教育委員会が責任を持って実施すべきものであり、また収益が見込みにくい点からも、民営化には馴染まないものである。コスト削減に重きを置いた図書館サービスの民営化については再考の余地があるだろう。
1980年代後半になると図書館サービスの在り方について検討がなされ、様々な報告が出されるようになる。これらの報告を参考として、新しいサービスが取り組まれるようになったのである。
1988年に社会教育審議会社会教育施設分科会による「新しい時代に向けての公共図書館の在り方について――中間報告」が発表され、これが一連の報告の最初のものとなった。
1992年には「公立図書館の設置及び運営に関する基準」が発表され、この基準を踏まえて1998年には生涯学習審議会答申「社会の変化に対応した今後の社会教育行政の在り方について」において、新たな社会の情勢に対応すべく調査・審議が行われた。
以上の結果を2000年において「公立図書館の設置及び運営上の望ましい基準について」報告として取りまとめ、2001年に「公立図書館の設置及び運営上の望ましい基準」として大臣告示された。2001年はコンピュータの整備、インターネットの普及など、情報通信技術の導入・活用や既存の図書館資料の電子化、データベース化がすすめられ、図書館サービスが拡大し始めていた時代である。
2006年には、その後の社会の変化や新しい課題に対応する形で、「これからの図書館の在り方検討協力者会議」において『これからの図書館像―地域を支える情報拠点をめざして―』が発表された。これは「望ましい基準」を踏まえつつ、全国の図書館の先進的な活動事例をもとにして、従来の貸出サービスを維持しながら、地域の課題解決を支援する新しいサービスを行うことを提案した報告書である。この報告書で提案された課題解決支援サービスは、近年多くの図書館において取り組まれているサービスである。
8.
2006年に「これからの図書館の在り方検討協力者会議」において『これからの図書館像―地域を支える情報拠点を目指して―(報告)』が発表された。この報告書においては、「1. 地方公共団体のすべての機関の方々へ」、「2. 図書館で働く方々へ」、「3. 地域住民の方々へ」、「4. 各種団体や機関の方々へ」として、各方面へ働きかけている。
特に図書館の現場で働く職員については、次の2点を求めている。
まず、図書館の機能に関して、住民の読書支援のみならず、地域の課題解決に必要な資料を提供し、住民の生活上の問題解決に必要な情報を提供する役割を担う施設であることの認識を求めている。
次に、貸出やリクエストサービスを重要視していないかに留意し、サービスの点検・評価を行って意識改革を図るように求めている。

9.
地方公共団体が責務として設置するものである公共図書館のサービスの基本は、地域住民を主とする様々な地域社会の構成員が求める資料や情報を提供することである。
そのため図書館は、図書、雑誌、新聞の他に、音声資料、映像資料を備え、視覚や聴覚に障害を持つ利用者や高齢者にもサービスが可能な体制を整える必要がある。
その前提として、上記のような資料やサービス体制を整備する際には、図書館が所掌している地域住民の人々が、図書館に対して何を求めているのかという利用者ニーズを職員全体で検討する必要があるといえる。以上が、図書館に利用者のニーズを把握する必要があると思われる理由である。
利用者ニーズが重要であることは既述の通りであるが、これらを把握する手段として以下のものが考えられる。
まず前提として、利用者ニーズの把握においては現実の来館者だけでなく、非来館者や潜在的な利用者の需要をどのように掴むかが重要となる。IFLA発表による政府機関図書館のためのガイドラインにおいても、利用者の把握そして利用者ニーズ及び潜在的利用者ニーズの把握が挙げられている。その具体的手法としては、個々の利用者との面談やコンタクト、調査、データ収集、利用統計、継続的な利用者とのコミュニケーションなどが求められるとされている。また、利用に関するフィードバックの重要性も指摘されるところである。ニーズ把握の実践例の一つとして、大学図書館における「館長と学生の懇談会」の開催が挙げられる。学生たちは、図書館広報で気づかなかったサービスを知ることができるとともに、図書館長や図書館職員は自館の広報体制の不備などを認識することができ、また学生たちの生の声が聞けることから、利用者ニーズの把握として高い効果を期待される手法である。

10.
地方公共団体が責務として設置するものである公共図書館のサービスの基本は、地域住民を主とする様々な地域社会の構成員が求める資料や情報を提供することである。
そのため図書館は、図書、雑誌、新聞の他に、音声資料、映像資料を備え、視覚や聴覚に障害を持つ利用者や高齢者にもサービスが可能な体制を整える必要がある。
その前提として、上記のような資料やサービス体制を整備する際には、図書館が所掌している地域住民の人々が、図書館に対して何を求めているのかという利用者ニーズを職員全体で検討する必要があるといえる。以上が、図書館に利用者のニーズを把握する必要があると思われる理由である。

11.
著作権法における視覚障がい者サービスに関する規定は、次のように変遷してきた。
1970年に、初めて著作権法の中に視覚障害者サービスに関する取扱いが規定された。これ以前においては、点字図書や録音図書は個別に著作権者の許諾を得て製作されていたが、この改正によって点字図書の製作は自由となり、録音図書の製作も点字図書館等が主体となっている限り、視覚障害者の貸出目的に限定して行うことができるようになった。
しかし、1975年1月19日付の読売新聞での記事において、公共図書館での製作には著作権者の許諾が必要であると改めて認識された。
著作権法は2000年と2006年に通信技術を踏まえた法改正がなされたのち、2010年の改正において幅広い方式での複製等が公共図書館、大学図書館、学校図書館等で可能となった。しかしながら、これら以外の病院図書館や、従来において点字図書等の製作を担ってきたNPOやボランティアに関しては対象となっていない点が、今後の課題として残されている。

12.
実際に図書館を利用する上で、図書館が作り出している代表的なバリアとしては、つぎの4つが挙げられる。すなわち、①施設・設備の不備によるバリア、②資料をそのままでは利用できないというバリア、③コミュニケーションのバリア、④心理的な圧迫というバリアである。
このうち、資料をそのままでは利用できないというバリアとは、音訳・点訳図書がないこと、拡大文字の資料がないこと、翻訳された本がないこと、字幕・手話サービスが展開されていないことが具体例としてあげられる。これらは目が見えない人、視覚障害や高齢のために字が小さくて読めない人、日本語がわからない人、音が聞こえない人などにとって、図書館利用に際しての障害となりうるため、アクセシビリティを保障できるよう確認し、バリアの解消に努めるべきである。

13.
公立図書館における電子書籍サービス導入は、障害を持つ利用者の観点からは以下のように評価できる。具体例として、千代田web図書館を挙げる。
まず、千代田web図書館は非来館型のサービスであることから、開館時間の制限を受けないため、身体に障害を持つ利用者など図書館に来館することが困難である人にとって非常に便利である。これは図書館が作り出しているバリアの一つである、いわゆる施設・設備によるバリアを解消できるだろう。
次に、電子書籍を扱っているため、画面上で閲覧する資料の文字の大きさを変更することが出来る。これは図書館が作り出しているバリアの一つである、いわゆる資料をそのままでは利用できないというバリアの一部を解消することとなるだろう。
電子書籍サービスに関しては、対応環境の拡充やコンテンツの拡充といった課題は残されている。しかし、図書館利用に際してバリアを持つ人々へ、図書館資料利用のアクセシビリティの保障を一歩進めたという点で、前向きに評価できるだろう。

14.
現在、韓国の公共図書館においては、韓国書や語学関連の資料を中心に、利用者自身で手続きできる電子書籍サービスが普及している。そのような先進的な取り組みの一つである国立デジタル図書館のビジョンとサービスについて以下で検討する。
2010年5月に、国立デジタル図書館「Dibrary」が国立中央図書館の隣に創設された。ビジョンとして挙げられているのは次の3点である。
①国内外の各種の知識情報機関が所蔵している高品質デジタル情報資源に対して、統合的な連携及び交流を行うことを目指す。
②Dibraryが提供する知識情報資源に対するアクセス及び共有、利用者の自主的な参加が可能であるオープンなプラットフォームを目指す。
③先端IT情報施設を通じて、すべての利用者がデジタル資料を平等に閲覧および体験できる、開かれた空間を目指す。
主なサービスは次の7点にまとめられる。
①大画面キオスク画面 国立デジタル図書館には、大画面ディスプレイとICカードリーダーを備えたタッチ式のキオスク端末が豊富に設置されている。利用者は使いたい施設の利用方法や空き状況の確認を、タッチすることによって直感的に行うことができる。また、ICカードリーダーに利用証をかざして個人認証を行い、PC端末やグループ用のセミナールームの予約もできる。
②利用者用PCエリア 利用者用PCエリアは、多言語対応エリア、データベース利用エリア、メディア編集エリア、障がい者用エリア、ノートPCエリアなどの大きな機能ごとにブースが分かれている。設置されているPCのディスプレイはすべて薄型ワイド式のみとなっている。
多言語対応エリアではコンパクトな一体型PCが採用され、4~5台ずつ国ごとの言語で設定されたWindows PCで、画面はWindows XPデフォルトの状態であるため、外国人利用者であっても違和感なく利用できるようになっている。対照的に、データベース利用エリア、メディア編集エリアではセパレートタイプのPCが設置され、ログイン画面からデザインされたものであった。障がい者用エリアでは、様々なハンディキャップに対応できるよう、音声読み上げ機器、片手用キーボード、手話による案内を行うアプリケーションをインストールしたPC、電動で高さ調整が出来る机などが、広いスペースに約20台設置されている。ノートPCエリアには電源とLANの接続口が付いた横長の机が並んでいる。そして、柱のいたる所に無線LAN用のアンテナが設置されている。
③電子資料閲覧機器 大画面キオスク端末とは別に、大画面タッチ式ディスプレイを備えた電子資料閲覧機器がある。新聞用の閲覧端末では、当日の新聞各紙を優先的に表示するが、過去のデータも一定期間保持しているので検索できる。タッチ式でページをめくったり、読みたい紙面を拡大したりといったことも直感的に操作でき、端末の高さ調節も電動で行える。
新聞用の閲覧端末の他に、電子書籍用のタッチテーブル型閲覧端末がある。大きな机に画面が埋め込まれており、ノートや本を広げながら利用できるよう設計されている。電子書籍は指でなぞるとページをめくることができる。ページの上側と下側のどちらからめくるかでアニメーションが変わり、また、読み終える際には本が閉じられるアニメーションも付いている。電子書籍の選び方はタイトルがリスト化されており、そこから選ぶという方式ではなく、電子書籍の表紙を並べて選ぶという、本を選ぶのと同じような方式による。
④撮影スタジオ メディアコンテンツを作成できる撮影機材がそろったスタジオは、誰でも予約して利用可能である。これらを使うための撮影技術を教える講習会も開催されている。作成したコンテンツはPCエリアのメディア編集エリアで加工し、希望すれば無音を条件に館内のスクリーンに放映することが可能である。
⑤セミナールーム グループ用のセミナールームは壁がガラス張りで、入り口のデジタルボードに利用者情報を入力することでロックが解除され入室できるようになる。内部壁面には大画面のディスプレイが2台作り付けになっており、これは電子黒板として機能する。板書した内容を電子ファイルに読み込み、室内に設置された端末からメールで送信することも可能である。
⑥視聴覚資料ブース 樹脂製の白く丸い囲いの中に入って視聴するブースが10基ほどある。囲いの内側には作り付けのソファがあり、14人が同時に視聴できるほどの広さが確保されている。所蔵している視聴覚資料はDVDのみであるが、過去のTV番組を見られるモニターも5台ほどある。こちらでは予約が不要で、ブースに入らずにひな壇に座布団を敷いて視聴する形態となっている。
⑦ライブラリアン 2010年において、国立デジタル図書館には専属のシステムライブラリアンが24名おり、その中でも各担当に分かれ、ベンダーと調整しながら日常のメンテナンスを行っている。利用教育としては、毎週火曜日から金曜日の10時から一時間にわたる、一般市民を対象にして行われている講習会がある。情報教育よりも情報利用教育に力を注ぐべきという方向性のもと、カメラ撮影に関する2ヶ月のセミナーや、デジタル情報活用に関しての3ヶ月のセミナーなどを行っている。

15.
情報リテラシー教育とは、電子ジャーナルやデータベースの検索技法等を教えるものである。公共図書館において、今後情報リテラシー教育を展開していく上では、様々な世代別の情報リテラシー教育の提供を考え、展開していかなければならない。
大阪府立中央図書館の例であるが、情報検索とレポート作成を組み合わせた講座が開催された際、受講者のほとんどは高齢者であった。情報リテラシー教育は、若い世代を対象の中心と考えがちであるが、ハイブリッド図書館の整備を今後の公共図書館のサービスに求められるものの一つであるとするならば、世代別のニーズに対応して、情報リテラシー教育のバリエーションを用意していくべきである。

16.
図書館を知ってもらう活動とは、利用者の図書館に対する理解を深める、或は、潜在的な利用者に図書館の利用の促進を試みる企画である。図書館を知ってもらう活動の具体例として、神戸市立中央図書館が行った次の3つの取組みが挙げられる。
①雑誌のリサイクルフェア 図書館の不要雑誌を無償で提供するものである。市内在住者だけでなく、市外在住者も一人一日当たり5冊まで持ち帰ることができた。このようなリサイクルフェアでは、不要になった雑誌あるいは図書を有効利用することによって、図書館に行きたくなるようになる一つの機会が作られるだろう。
②バックヤードツアー 書庫や古書修理部門など、普段は見ることのできない図書館の舞台裏を見学するツアーである。古書修理部門などを現在でも維持している図書館は少なく、当該図書館の専門性を紹介できる機会となる。
③司書の仕事体験 「一日図書館員」という企画において、本の貸出、返却、書架の整理などの司書の仕事を体験するものである。地域住民に実際に図書館の裏方の業務を見学、体験してもらうことで図書館の業務への理解が深まることが期待される。また、図書館側にとっても自分たちの業務を整理する良い機会となるとともに、ボランティア志願者を集める動きにもつながると予想される。

17.
1980年代後半より、当時の文部省の審議会や協力者会議など、様々な合議体において図書館の在り方に関する検討がなされるようになった。これは、公立図書館が貸出サービスに重点を置いてサービスを展開してきたことに対して、「貸出至上主義」「無料貸本屋」といった批判がなされたことと関係する。各報告書の内容は以下のものである。
一連の報告書の最初のものは、1988年に社会教育審議会社会教育施設分科会における「新しい時代に向けての公共図書館の在り方について――中間報告」である。これ以降、報告が次々と発表され、これらの報告に基づいて図書館では新しいサービスへの取組みが行われることとなった。
1992年には、生涯学習審議会社会教育文化審議会施設部会図書館専門委員会報告「公立図書館の設置及び運営に関する基準」が出された。1998年12月より、生涯学習審議会社会教育文化審議会計画部会図書館専門委員会ではこれを、同年9月の生涯学習審議会答申「社会の変化に対応した今後の社会教育行政の在り方について」における図書館法第18条に基づく「公立図書館の設置及び運営上の望ましい基準」を踏まえて調査、審議を進めた。
以上の調査や審議の結果を、2000年12月に「公立図書館の設置及び運営上の望ましい基準について」報告としてとりまとめ、文部省に提出した。翌年、これは「公立図書館の設置及び運営上の望ましい基準(以下「望ましい基準」とする)」として大臣告示された。
「望ましい基準」においては、図書館は生涯学習の振興を図るうえで重要な社会教育施設であると位置づけられ、十分な図書館サービスを受けられない住民の存在や図書館の利用者拡大を課題として述べられている。また、図書館を取り巻く環境の変化について、新たなサービスを検討して豊かな図書館サービスを展開できる好機であるとしている。豊かな図書館サービスの内容について、前文では①新しい情報通信技術の活用、②国際化への対応、③高齢化への対応、④子どもの読書活動の振興、⑤職業能力開発のための要求への対応、⑥ボランティア活動の推進の6項目が挙げられている。本文においては、①資料の収集、提供など、②レファレンスサービス、③利用者に応じた図書館サービス、④多様な学習機会の提供、⑤ボランティア参加の推進の5項目が挙げられている。
以上の「望ましい基準」が公開された2001年は、情報通信技術の導入、活用や、既存の図書館資料の電子化やデータベース化がすすめられ、これらに伴って図書館サービスも拡大し始めた時期であった。さらに、その後の社会の変化や新しい課題に対応する形で、2006年に「これからの図書館の在り方検討協力者会議」が『これからの図書館像―地域を支える情報拠点をめざして―(報告)(以下、「これからの図書館像」とする)』を発表した。これは「望ましい基準」を踏まえつつ、全国の図書館の先進的な活動事例をもとに、従来の貸出サービスを維持しながら、地域の課題解決を支援する新しいサービスを行うことを提案したものである。
さらに、2008年には中央教育審議会の答申「新しい時代を切り拓く生涯学習の振興方策について」が発表され、ここにおいても図書館の役割等が取り上げられている。

18.
1980年代以降、一貫して継続される行政改革、特にいわゆる構造改革によって、公的な機関が担ってきた公共サービスを、民間企業に開放することが求められている。図書館の業務も例外ではなく、委託や派遣、指定管理者制度、PFI、市場化テストなどによって、図書館における利用者への直接サービスだけでなく、図書館の設置計画から運営全般、日常のサービス業務、資料選定などの業務の部分あるいは全般にわたって、民間企業が担っている公立図書館が少なくない。
本来、公立図書館の図書館事業は公共サービスの一つとして教育委員会が責任をもって実施すべきものであるし、収益が見込みにくい公共事業であることから、民営に馴染まないものであろう。特に市場化テストはサービスの質の維持向上および経費の削減を図ることが導入の目的であり、これが用いられるにあたっては経費削減に重きが置かれがちとなる。図書館業務は人的要素がその質に大きく関わるものであり、民営による不安定な運営状況や雇用状況によっては、専門性の蓄積が継承されにくくなる恐れがある。その一方で近年は公立図書館に対してより高度なサービスが求められており、安易な経費削減重視の運営には再考の余地が多分に残されている。
19.
近年、公立図書館においては電子書籍サービスなどの非来館型のサービスが展開されているが、その具体例として図書館ウェブサイト上のデジタルアーカイブが挙げられる。デジタルアーカイブは既存の紙媒体の資料をデータ化して、文化的情報資源として収集・蓄積・保存・提供するものである。公立図書館においては地域資料のデジタル化が中心となって事業が進められてきた。デジタルアーカイブに保存されるコンテンツとしては、資料のデジタル化されたものの他にも、祭りや伝統芸能の動画、地域住民が作成・撮影した動画や写真、また民話などの語り部などを収集したものなど多岐にわたり、それぞれの図書館の特徴がみられるものである。具体的な事例として、岩手県立図書館の「イーハトーブ岩手電子図書館」、上田市立上田図書館の「東山道信濃国略図」などが挙げられる。これらは国や民間の補助金を獲得して構築されたデジタルアーカイブである。

20.
課題解決支援サービスの一つに、ビジネス支援サービスがある。これは地場産業を支援するものとして、各種の課題解決支援サービスの中でも有名であったものである。
具体例として、長野県の飯田市立中央図書館におけるビジネス支援サービスを挙げる。飯田市立中央図書館では、社会や技術、地元の産業分野の資料を「暮らしと仕事に役立つ」本のゾーンとして集中して配置している。また、課題解決のための講座の開催にも力を入れている。地元の建築関連団体の協力を得て、「家づくり」に関する展示と併せて主に児童向けの職人体験講座を実施した。建築関連の職人が減少していることを地域の課題の一つとして、解決や産業支援につなげていくことを目指している。他にも、「社史活用」「図書館 de ジョブカフェ~就職支援セミナー~」などの講座の実施があった。また、自分で調べるための図書館ホームページの調べものリンク集の更新や、中学校のキャリア教育支援として、仕事に関する図書リスト作成と貸出なども行っている。

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